蟹座に学ぶ色々 - Things learned from Cancer -

■第2章 生物、人間を学ぶ (Contents)

 “生物、人間を学ぶ”と大それたお題を設定してしまい「しまった!」と後悔している筆者ですが、癌細胞や細菌、ウィルス 等の病気の根本原因を探っていくと、 生物の根元に関する要旨だけでも知っておく必要があると思いまとめてみることにしました。生き物、人間について語るとなると、様々な宗教的思考、科学的思考、 進化論的思考、医学的思考、等々の分野から、その見方はおかしいとか、間違っているという反感を買うかもしれません。 しかしながらここでは筆者が病気の体験を通じて、“こういうものなのかもしれない”と感じたことを率直に記してありますので、 どうか一つの個人的な考えとして捉えていただきたい次第です。


−生物、人間を学ぶ− 目次  TOPページへ



◆物質の誕生と生物の誕生

 この題目については想像の世界でしか語れませんが、私が考えるところをまとめています。(といっても、記述している数値 等は文献参考しております。) 現在私達が生きている地球ですが、周知の事実のとおり太陽系に属し、太陽系は銀河系に属し、銀河系は他銀河と同様広大な宇宙の中にあります。 太陽をはじめとする様々な恒星は巨大なガスの塊で、そこでは核融合が起き、大きなエネルギーが発生しています。これら恒星や、それら集まりで構成される銀河、 それを含む宇宙は、ビッグバンという想像もつかない大きさの質点の爆発により始まったと言われています。このビッグバンがなぜ起こったか? 誰がどのような目的で起こしたか?(私は、創世主が創ったとしか言いようがない!と思っている。)など全くわかりませんが、この質点の爆発を機に、 物質がこの宇宙にばらまかれました。
 そして10万年の年を経て銀河系の形成が始まり、その後太陽系も形成され、宇宙の誕生から54億年後に地球が誕生したとのこと。 現在は100億年後の姿といわれています。[岩波 理化学辞典 参照]地球は太陽の周りを回る三番惑星ですが、太陽からの距離、地球を構成する物質の組成、 その他様々な偶然?or必然?が重なって生物が誕生します。ちなみに最初の生物が誕生したのは今から40億年前、宇宙の誕生から60億年とされています。
 ここで“生物”の定義ですが、

「生物とは生命があることであり、生物が無生物から区別される一般的な特徴として、生物は、@自己増殖能力、Aエネルギー変換能力、 B恒常性(ホメオスタシス)維持能力という3つの能力をもっている。」(Wikipediaフリー百科事典参照)
「A生物学的にエネルギー転換(代謝)を行い、@自己増殖およびB自己保存の能力をもつもの」(マイペディア百科事典参照)

とされています。私達の生活習慣に言い換えると、@子孫を残す繁殖能力を持つ、Aご飯を食べて消化し、自身に必要な栄養を取りこむ能力を持つ、 Bア.体温維持能力や、イ.力仕事をする人はマッチョ(力仕事という外部環境に対応するため筋肉が増強し(内部環境による対応)その生活に順応する)、 ウ.擦り傷を負ったときにかさぶたを作るなどの修復能力を持つ、とでもいいましょうか。現在は生物も各種の進化を遂げて様々な動物、植物、細菌などなど 存在しているのでこの3つの生命活動のやり方は様々ですが、とにかく生き物は

 @子供がほしい!(自己増殖能力)
 A飯が食いたい!(エネルギー変換能力)
 B長生きしたい!(左記表現は恒常性維持能力としてはちょっと飛躍しすぎかもしれませんが...)

という三大欲求遂行のために、日々一所懸命頑張るわけです。
 生物を構成する物質として水、たんぱく質、脂質、炭水化物、核酸があるとされていますが、ビックバンで始まった宇宙の誕生から、銀河系誕生、太陽系誕生、 そして地球の誕生と繋がり、また、太陽の放射エネルギーの大きさ、太陽と地球間の距離など様々な偶然が重なり、地球にはこの5つの生物構成物質が生まれ、 生物が誕生したのです。そして、@子供がほしい、A飯が食いたい、B長生きしたいという三大貪欲を満たすために活動を開始しました。 別に生物なんぞできなくても何ら問題はなく、むしろ色々な問題は起こらなかったと思うのですが、これこそ神様が創ったというか、 偶然の重なりの結果として出来てしまっ たというか... なんとも神秘的なものです。

目次へ



◆細胞、細胞っていうけども細胞って何?

 高等学校の生物の教科書を見ると、[“細胞”とは生物を構成する最小の単位]と定義されています。物質が誕生し、 水、た んぱく質、脂質、炭水化物、核酸という5つの生物構成物質がたまたま生まれ、前節で記した@子供がほしい、A飯が食いたい 、 B長生きしたいという三大貪欲を満たすために活動をおこなう個体が現れ、その個体がつまり細胞というわけです。
 この節では話を簡単にするために、ウィルスや細菌類に関する記述は割愛し、高校生物で学習する動物細胞を取り上げて 細胞を構成する代表的な小器官やその役割を説明します。


@核
 核は生物の三大欲求の“子供がほしい”部分(自己増殖能力)を実行するための重要な小器官です。核は個体の形質に関する すべての設計図を保管した図書館みたいなもので、良く耳にするDNA(デオキシリボ核酸)が存在しています。
 DNAはたんぱく質と複合した染色質(染色液に染まりやすい物質)のものであり、細胞分裂の際に凝集して染色体を形成します。 この染色体の数や、各染色体のDNA配列の違いが個体の形質に関する情報元、つまり設計図となるわけです。 DNAはヌクレオチドというリン酸と糖とアデニン、グアニン、チミン、シトシンという4種の塩基から構成される二重らせん構造をもち、 この配列の組み合わせの違いが個体の設計図としての役割を担っています。最近はこの配列を研究して病気の原因となるDNA配列を 解明したりと、ハイテクな研究が行われています。
 核の機能として、細胞分裂の際に核内のDNAが正確に複製され新しい細胞に継承する役割と、DNAの情報を元に細胞特有のたんぱく質を 合成する役割をもっています。たんぱく質はDNAの情報を元に、RNA(リボ核酸)という物質に転写され、粗面小胞体上にある リボソームと結合します。このRNAの転写情報を元に細胞質内からアミノ酸がリボソーム上に運ばれ、転写情報通りのたんぱく質が 合成されます。この作業により、様々な役割をもった細胞が生成されます。

A核小体
 核小体ではRNAの転写やリボソームの構築が行われます。

B細胞膜
 細胞膜は細胞内に存在するすべての物質と外界とを隔てる役割をします。細胞膜はたんぱく質とリン脂質からなるリン脂質の二重層膜から 構成され、水、酸素、二酸化炭素、アミノ酸などは通りやすいが、たんぱく質のような大きな物質は通りにくいという半透性の性質があります。 これら性質を利用して、細胞にとって必要な物質を細胞内に取り込んだりと、細胞のフェンスや流通門的な役割を担っています。

C中心小体
 対になった円筒状の小体で、細胞の核分裂の際に染色体を両側に引っ張る働きがあります。

Dミトコンドリア
 ミトコンドリアは細胞のエネルギー源として必要となるアデノシン三リン酸(ATP)という物質を合成する、代謝を担う重要な小器官です。 摂取した食べ物の中のブドウ糖を分解しATPが合成されますが、これはいくつかの反応系を介して行われ、それらをまとめて糖代謝系と呼びます。 この糖代謝系の電子伝達系という反応系において大部分のATPが生成されますが、この電子伝達系がATPを生成する際に酸素を必要としており、 これが私たちが酸素を必要とする理由です。ミトコンドリアは生活に必要なエネルギーを供給する発電所のような役割をもつ小器官といえます。

Eゴルジ装置
 ゴルジ装置は粗面小胞体から出るタンパク性の分泌物を受け取り運搬する能力や、濃縮する働きを持っています。

F小胞体(粗面、滑面)、リボソーム
 小胞体の中でも表面にリボソームが並び、粗く見えるものを粗面小胞体、そうでないものを滑面小胞体といいます。 リボソー ムはRNAとたんぱく質からなる顆粒です。
 小胞体は次のような細胞機能を有しています。
a)たんぱく質合成、加工機能、輸送
 粗面小胞体のリボソームでは、細胞の各部を構成するたんぱく質や分泌たんぱく質が合成されます。 DNAの情報が転写されたRNAの配列をもとにたんぱく質が合成され、小胞体では合成されたたんぱく質の折りたたみ、切断や、異常な配列 (コピーミスや乱丁)をとってしまったたんぱく質の分解等を行います。また、合成されたたんぱく質は輸送小胞によって他の細胞小器官に輸送されます。
b)物質の合成分解
 滑面小胞体はその細胞が属す器官によって役割が異なり、肝細胞であれば物質の合成や分解、筋細胞であればカルシウム貯蔵庫の役割を、 また、脂質の合成を行ったりと多岐にわたります。

Gリソソーム
 膜で囲まれた袋状の小さな顆粒で、加水分解酵素を含み不要な物質を分解する役割を担っています。

 以上が細胞を構成する小器官と働きの概要です。これら小器官の詳細な働きについては、各専門家の文献等を参考にしていただきたい次第ですが、 私がこのホームページにて言及したいポイントは「地球上の全ての生物が基本的にはこの細胞を基に構成されている。」ということであり、 上述の機能をみても分かるとおり細胞単体でも@子供がほしい(核、核小体、中心小体)、A飯が食いたい、B長生きしたい(細胞膜、ミトコンドリア、 ゴルジ装置、小胞体、リソソーム)という生物の三大貪欲を満たすための活動をしている点です。
 現在では、人間、像、パンダ、魚、ヤモリ、鳥、松、桜、等等等等等と1,000万種類以上の生物が存在するといわれていますが、 それらはみんな“始原細胞”といわれる細胞から分化、変異を繰り返してできたといわれています。つまり、おかれた環境下において 三大欲求を如何に成し遂げるかという創意工夫から色々な姿に変わっているという事です。 (これら色々な形態が“種”となります。)「人間という種はそんな野蛮な三大欲求のみを行う輩ではない!」と強く訴える人もいると思いますが、 それは間違いです。人間がそんな風に考える能力を持ったのも、おかれた環境で如何に三大欲求を実行するかという課題に対して“考える”能力が 備わった結果、そう考える事が出来るようになっただけなのです。現代社会は高度な文明が発展し、食料も豊富で外敵も少なく非常に暮らしやすい環境です。 そんな中に“ポン”と生まれて当たり前のように暮らし成長しているので、@子供がほしい、A飯が食いたい、B長生きしたいという三大貪欲は 他の好奇心を煽る様々な刺激に干渉され、意識から遠のいているのでは? 現代社会において切にこの3つの欲望を抱いている人はどれくらいいるのでしょうか?
 ちょっと話がそれてしまいましたが、もう一度おさらいです。“細胞”とは生物を構成する最小の単位であり、@子供がほしい、A飯が食いたい、 B長生きしたいという生物の三大欲求を遂行するものであること、また人間の体は三大欲求を遂行する60兆の輩の集まりであることを心に留めておいて下さい。

目次へ

◆人間の体はどうやって出来上がったのか?

 前節で、生物とは何か?またどのようなことを目的にしているのか(三大欲求)?について記しました。 そして私達人間もこの生物の中の一員であることを記しました。でも地球上には植物や魚、爬虫類、アフリカの荒野で暮らす猛獣、などなど色々なものが存在しています。 生物は皆、“始原細胞”と呼ばれる細胞を起源に始まったと記しましたが、ではどのようにして一つの細胞から1000万種類という生物まで多岐にわたったのでしょうか?
 本節では前節で記した細胞の機能をベースにその進化のしくみについてまとめました。ちなみに、この仕組みはダーウィンさん(1809〜1882) によって提唱されたものです。“ダーウィンの進化論”とか聞いたことありますよね!

目次へ


 ●場のエネルギーの変化と突然変異

 生物の基本定義の中の“自己増殖能力をもつ”(@子供が欲しい)という機能を発揮するため、生物の基本単位である細胞は核の中に遺伝子という物質を持っています。 この遺伝子はDNAの塩基配列の組み合わせを基にした細胞の設計図であり、細胞は細胞分裂の際に正確にそのコピーを繰り返すことにより自らの分身を後世に残す機能を 持つことを前述しました。
 ここで疑問に思うこととして、なぜ細胞はDNAのコピーを行って自らの分身を増やしていくのに始原細胞という一つの細胞から1000万種類という多種の生物に 発展したかという点です。確かに変ですよね。そこには、この地球という場の中で飛び交うエネルギーのいたずらが存在しました。“物質の誕生と生物の誕生”の節で 述べた内容ですが、ビックバンで始まった宇宙の誕生から地球が誕生し、太陽の放射エネルギーの大きさ、太陽と地球間の距離など様々な偶然が重なり、 地球に5つの生物構成物質が生まれ、生物が誕生したという背景です。つまり、生物が存在している場には飛び交うエネルギーの絶妙なバランスがあるという点です。 生物を取り巻くエネルギーが常に一定だったら、DNA複製の際の物質輸送も安定してコピーミスは極論として0(ゼロ)になるはずです。 しかし、地球上には太陽からの太陽風の量、地球上の地殻変動をはじめ様々なエネルギーの波が飛び交っています。これらエネルギーの外乱は、 場の中で生存する生物にも当然の如く影響を与えます。この外乱はDNA複製の際にも影響を与え、DNA情報のコピーミスという現象を引き起こしました。 (出処の怪しい情報ですが、自然界における突然変異は1個の細胞が1回細胞分裂するとして、10万〜10億個に1個という確率で起こるといわれています。) このミスのおかげで一つの細胞から同じでない細胞が現れ、また、自己増殖能力の行使とエネルギー外乱によるコピーミスの繰り返しにより色々な種の発展に繋がりました。
 各々の種の発展の背景には、生物の三大貪欲の一つ“@子供がほしい”という自己増殖機能と、10万〜10億個に1個という確率で起こるミスがあるわけです。

目次へ

 ●自然淘汰と進化

 前節では遺伝子のDNA複製の際のコピーミスが、色々な種への分化のスタートになったことを述べました。ではこの分化は無秩序にどんどん進み、 現在の1000万種類という多種の生物に発展したのでしょうか?ダーウィンさんは次のように説明しました。 (進化科学等の専門家の方から見ると欠陥だらけで文句もたくさんあると思いますが、以下説明のために図を作成しましたので、参照願います。)


 色々な偶然の産物である始原細胞(図中“A”)は、生物の三大欲求を一所懸命に遂行し、自らの分身を作ることに成功しました。 また、その分身子孫も自らの子孫を残そうと頑張り、一部は成功、一部は失敗します。始原細胞ができたころの地球環境はどんなだったか全く想像できませんが、 察するに相当劣悪であり、細胞の寿命もほんのわずかだったでしょう...そんな中でも、生命を与えられた細胞は自らの欲求を満足させるために必死です。
 劣悪な環境の中、細胞は場のエネルギーを常に受けており、自らの細胞分裂の最中に偶然にもDNA配列の変成に丁度良いエネルギーを受けた細胞は、 Bという子孫やCという子孫を残す結果となりました。Aから転じたB、Cの子孫も三大欲求を満たすために必死です。しかしながら、 環境に適応できないCはすぐに死んでしまいました。また、Aよりも環境に強い性質を持ったBは、自らの分身を作り後世への夢をつなぎます。 また、Aはせっかく始原細胞として生まれたものの、厳しい環境に適応できず途絶えてしまいました。
 このような“強きは勝ち、弱きは滅ぶ”というまさにサバイバルゲームそのものの活動を繰り返し、環境に適応可能な強い輩のみが残っていきます。 やがて、Bは更なる突然変異を繰り返し、図中ではD、E、Fが生残っています。この後、DはDという性質をもとに突然変異を繰り返してより環境適応できるものが生残り、 E、Fも同様にEやFという性質をもとに突然変異を繰り返してより環境適応できるものが生残っていきます。 図ではD、E、Fという3つの系統が生残っていますがこれら系統が“種”となり、この後も突然変異により分化し、環境適応できたものが新たな種として生残っていきます。 この自然界におけるサバイバルゲームのことを自然淘汰といいます。
 また、生物はより環境に適応するため、ただ自分自身(1つの細胞)を増殖させるだけではなく、特殊化した機能を持つ細胞を増殖させて個体を形成する能力も身につけます。 例えば、たくさん食べ物を取り込む能力がある細胞が生まれた場合、もとの細胞一つで厳しい環境の中にいるより、 食べ物をたくさん取り込む能力があった細胞と共にいて分けてもらった方が好都合です。また、その細胞がより泳ぐ能力が早く、食べ物のあるところに早くたどり着けるとしたら 食べ物をたくさん取り込む能力を持った細胞にとってもメリットがあります。この原理に基づき、特殊化した細胞を発展させ新たな機能を持つことを進化といいます。 生物は進化により、環境適応に好都合な特殊機能を次々手に入れ個体の形質を強化させますが、特殊化された細胞はそれ自身の子孫を残そうとはせず所属する個体の死と共に死にます。 この理論は自然淘汰による進化論を唱えたダーウィン説を支持した、アウグスト・ワイズマンが考案した概念です。 生物は始原細胞の三大欲求の遂行という目的から環境適応のために進化し、より強くなったのですが、その個体の中の細胞は決してわがままではなく、 個体の持つ基本理念として三大欲求を捕らえて忠実に秩序を守っていきます。 (かなり余談:この秩序を守れない輩が現れた個体が癌患者となるわけだが、このような秩序を守れない輩が最初から宿っている個体が知られていない。 (仮にいたとしても当然の如く自然淘汰により絶滅してしまうのだろうが...)この事実はなにを物語っているのだろう?ルールの遵守は絶対ということなんだろうか??)
 この概念を前図の突然変異の系統図とあわせると、下図のようになります。[個体Bから個体Dに進化、次の世代(前図では明記していない)はさらに進化]


 やがて生物は、Fの種のように性別を持ち、異性との交配により新たな子孫を残す方法をとるものができました。 この方法は交配の際に己の遺伝子を半分にパカっと割る減数分裂を行い、同様に減数分裂を行った異性の遺伝子と結合して子孫を残す方法です。 現在、私たち人間を含む多くの生物がこの方法で子孫を残していますが、この方法で子孫を残した方が半分は相手方の形質を引き継げるという点で、 突然変異により形質変化を待つより好都合だったという事象があったのでしょう。
 より強い子孫を残すためには、お互いにより強い(子孫繁栄的に)パートナーを見つけることが重要です。それゆえ、自分の子孫を残すためには、雄ならばより強く (その方が後々生残る可能性が高いし、より雌の気を引いて生殖の確率を上げることができる)、雌ならばより綺麗で(その方がより強い雄の気を引くことができ、 種付けしてもらう確率が増え、雄同様に生殖の確率を上げることができる。もちろん綺麗だけではありません!一つの例えです...)という形質が顕著になっていったと考えられます。 いわば、自分の生物としての三大欲求(ここでは“@子供がほしい”という欲求のみですが)を満たすために、相手をうまく取り込み利用する駆引きが遠い昔から 自然と形成されてきたわけなのです。
 この駆引きは、“@子供がほしい”という生殖に関するものだけではありません。A飯が食いたい、B長生きしたいという欲求に関しても強かに行われています。 例えば寄生虫、どこかしらの動物に寄生していた方が、栄養も与えてもらえ、長生きできます。ぎょう虫なんかは自分の卵を肛門付近に産み付けます。 (小学校の時に、朝お尻にぺたっとフィルムをくっつける検査をした記憶がありませんか?)こうすることで例えばお尻を触った手に付着して他の人に移る機会が増え、 自らの生殖の可能性が上がります。この様に、その形質やその行動がしっかりと生物の三大欲求遂行のために工夫されているわけです。 現在この世の中にいるといわれる1000万種類という生物は、皆このような駆引きを行う中で進化を繰り返し、強かに生き延びてきた輩たちということができます。

目次へ

 ●人間の祖先と人間の特徴

 前節では、生物はみな三大欲求の遂行のために日々活動していることと、自然淘汰の原理により色々な形態への分化が進み、 より環境に適応できる形態の生物が子孫へそれを引き継ぎ生き残ってきたことについて述べました。 また、各々の生物は三大欲求の遂行のために他の生物との巧妙な駆け引きの方法を身につけ、現在1000万種類といわれる種が牽制しあい、 バランスを保って生きていることを述べました。(この表現は筆者が色々な書籍を参考の上で理解した考えなので、 様々な証拠を元にした絶対的な事象を記したものではありません。でも、おそらくそうだと思います。)
 では、私たち人間は始原細胞からどのような進化を遂げて今に至っているのでしょうか? また、進化の過程でどのような能力を備えてより強く環境に適応するすべを身につけたのでしょうか? この疑問については様々な分野の学問において研究され、現在も色々なことが明らかにされつつある研究途上の状態のようです。 生物が地球上に誕生してから約40億年の歴史があるわけですから、すべてを明らかにすることがどれほど大変かということは簡単に理解できます。 本ホームページにおいては分子生物学という学問をベースとした書籍を主な参考文献として、人間がたどった進化の歩みをまとめてみました。 (見る人によっては当然のごとく賛否両論あると思いますが、細かいところの間違いなどあっても水に流してください。 また、分子生物学という学問をベースとした書籍を主な参考文献としたと書きましたが(これは事実なのですが...)、 分子生物学の主たる部分の記載は一切ありません。その学問を通じて想定されている時代背景についてのみ記載してあります。)
 また、各紀の横には地球の誕生を1月1日として現代までを1年としてスケーリングした日付を記載しました。 私たち人間の歴史は、自然界の歴史と比べると如何に希薄なものか認識させられます。
 もうひとつ、事前に述べておきたいことがあります。以下は各時代背景において人間の祖先がどのような形態をしていたかを中心に文章が構成されています。 筆者が一番触れたいことは、その時代にヒトの祖先がどんな形態でなんと呼ばれていたか?ということではなく、 私たちの祖先が生物の三大欲求を満たすためにどのように環境適応をして現在に至っているかという点です。 ですので、昔のヒトが(地球の歴史から見たらヒトでない時期が大半なのですが)どのようにして生き延びようとしてきたかを感じ取っていただけると幸いです。

1)始生代 (39億年前〜26億年前)  [2月26日]
 約35〜38億年前(書籍によって40億年前)に原核生物(細菌類、バクテリア)が出現し、激変する環境の中で進化を進めます。 私たちの最初のご先祖様は黴菌の類だったのですね、驚きです。

2)原生代 (26億年前〜5億8千年前) [6月8日]
 原生代は藍藻類(原核細胞[細胞核、細胞小器官をもたない]の生物で光合成を行う特徴を持つ。)が発生し、水深の浅い海底では@日中に、藍藻類が砂泥の上に定着し光合成を行う、 A夜間、光合成の無い休止期に覆われた砂泥を排出する粘液で固定、B藍藻類自らの呼吸のためにさらに海面方向に細胞分裂して再び日中光合成をする、というサイクルを繰り返し、 ストロマトライトという岩が多数できるようになったと言われています。
 この光合成をする微生物が発生したことにより、大気中や海中の酸素濃度が増加し、併せて二酸化炭素濃度が劇的に減少するという環境変化がこの時代に起こります。 この環境変化は、生物界に次の様な劇的、効率的な変化を与えます。それは、真核生物の誕生です。今から10〜18億年前の出来事といわれています。 真核生物は細胞の核を覆う核膜があることと定義され、細胞膜と核膜の間(細胞質)には細胞小器官が存在しています。 [前節:細胞細胞っていうけども細胞って何?]に記載した図のような細胞が誕生するわけです。 酸素が海中、大気中に多く含まれるようになると酸化作用に弱い細胞は環境適応できず死んでしまいます。そんな中、前述した進化、適応のメカニズムによって酸素に強い生物も当然現れてきます。 この一例が好気的細菌です。好気的細菌は酸素を取り込みそれを自身のエネルギー源に変換する機能を持つ細菌です。 この細菌を細胞小器官として細胞質内に取り込み、自らの栄養源の確保のために利用したのが現在私達の体内にもある一般的な形態の動物細胞の始まりと言われています (ちなみに、この好気的細菌に由来する細胞小器官がミトコンドリアです)。この説は1970年にリン・マーギュリス博士によって提唱されました。 酸素の誕生という環境変化と、それに対応するための適応進化により、細胞は真核生物となり自分にとって都合の良い他の生物と共存する道を選んでいきます。 そしてより強く、合理的に生き延びる術を身につけていくのです。(この時代に、我々のご先祖さんは、黴菌の類から現在私たちの体を構成する1個1個の細胞の類に進化したわけですね。) 細胞小器官のうち、他生物に由来するといわれているものが@ミトコンドリア、A葉緑体(植物細胞の中に含まれる)、B中心体、Cべん毛 とのこと。

 コメント:真核生物の起源については現在も良く分かっておらず、様々な分野の学者の方々が研究の上で証拠事象を集め、議論を展開中のようです。 上記記述では、酸素の発生が真核生物を生んだと解釈してしまうかもしれませんが、この因果関係は特に証明されたものではなく、 参考文献に記載された各生物の発生時期の流れから文章を構成する流れの上で記載したものです。丸呑みしないで下さいね。

◎真正年代 (5億8千年前〜 )
3)カンブリア紀 (5億8千万年前〜5億年前) [11月15日]
 カンブリア紀以前の数千万年とカンブリア紀は、多細胞生物への進化が爆発的に行われた時期で、系統樹の枝も一気に増え始めます。 この頃の海中は様々な特徴をもった個体(高等生物)の発生とその耐久性を試す試作試験場のような状態だったと考えられています。 この紀の終わりから次のオルドヴィズ紀にかけて我々脊椎動物の起源が現れ、その形態は下あごの無い下等な魚の一種だったとのこと。 また、この時期に誕生した生物は、腔腸動物(クラゲ等)、海綿動物(海に住む海綿状組織(スポンジみたいな組織)を骨格とした生き物)、 腕足動物(三味線貝等)、鋏角類(くも、さそり、カブトガニ等)、棘皮動物(ウニ、ヒトデ、ナマコ等)、環形動物(ミミズ、ゴカイ、ヒル等)、 軟体動物(ウミウシ、タコ、イカ等)、頭索類(ナメクジウオ等)、尾索類(ホヤ等)、等等数多く、カンブリアの大爆発という比喩が用いられるほどです。
 この時代の生物は種の存続のために、あるものは脊椎を持ち、あるものは殻を持ち、あるものは鋏を持ち等等と、生きやすい形態を求めて次々と自らの新規開発をなしていたようです。 そして、現在1000万種類いるといわれている生物種の基となる基本的な形態の多くが形成されたようです。現在、われわれ人類も含まれる脊椎動物の祖先もこの時代に生まれます。 でもその最初の姿は魚の一種だったのですね。また、私たちのご先祖さんが魚の一種だった頃が、地球が誕生してからの1年暦で11月半ばというのも驚きです。

4)オルドヴィズ紀 (5億年前〜4億4千万年前) [11月22日]
5)シルリア紀 (4億4千万年前〜4億年前) [11月26日
6)デヴォン紀 (4億年前〜3億4千5百万年前) [11月28日]
 この時期、3億5千万年前〜4億年前に多種多様の魚が出現したといわれています。また、3億7千万年前に両生類(現在のイモリ、カエルの類等)が出現します。 また、この期の大きな出来事として今まで海で生活していた生物が、陸上に進出したことがあげられます。まず最初に植物が進出、最初に進出した植物はマツバランの類と考えられています。 続いて、動物も陸上に進出しますが、最初に進出したのは両生類や翼の無い飛ばない昆虫が進出したようです。

7)石灰紀 (3億4千5百万年前〜2億9千万年前) [12月5日]
 この時代は陸上に進出した生物の進化が始まり、植物では松柏類やシダ植物が発展し大森林を築いていたと考えられています。 また、前紀に陸上に進出した昆虫類も進化してこの時代に空を飛ぶ輩が現れたと考えられています。また、このころ陸上に進出した両生類の一派が、陸上特有の乾燥した雰囲気で生き抜くために、 硬い殻を持った卵の産卵、強い皮膚を備える等の進化をはじめ、爬虫類誕生への試行錯誤をしていたようです。ちなみにこの時代、我々のご先祖さんの姿は、四肢(それぞれ一組の前足と後足) を持つ形態を持った両生類であります。陸に上がるか海中にいようか試行錯誤していたのでしょうか?

8)二畳紀 (2億9千万年前〜2億4千5百万年前)[12月8日]
 この時期、2億8千万年前に爬虫類(現在のトカゲの類)が出現しました。両生類の一派が進化し、終生肺呼吸、乾燥雰囲気にも耐えうる皮膚、卵等が特徴です。 (分類学的には爬虫類は頭蓋骨両側に側頭窓を二つ持つことを特徴とする双弓類の中に含まれるとのこと。この一派に爬虫類や後にここから進化する鳥類が含まれるそうです。) この時期の爬虫類の進化は大型化が進む環境が整っており、次の三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の3世代には爬虫類の中でも恐竜が大発展して正にジュラシックパークばりの恐竜天国時代となります。 一方、四肢を持つ両生類から爬虫類へ進化した一派(双弓類)とは別に、単弓類(頭蓋骨両側に側頭窓を一つ持つことを特徴とする)も出現します。見かけはトカゲ、恐竜と変わらないと私は思いますが、 この一派が後に哺乳類に進化していきます。つまり、この時代の私たちのご先祖さんは、4つ足で恐竜とともに生活するトカゲみたいな輩だった様です。
 また、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の3世代に、陸上の植物では、シダ、イチョウ、ソテツが発展、海中では理科の教科書にも良く出てくるあの巻貝、アンモナイトが発展します。

9)三畳紀 (2億4千5百万年前〜1億9千5百万年前) [12月12日]
 この時期、2億年前に単弓類の一派が進化し哺乳類(乳を飲ませて子育てをする類)が出現します。(最初は大きかった単弓類の一派が小型化してさらに進化して哺乳類になったと考えられています。 また、哺乳類に進化した一派とは別の単弓類については、この時代の初期までに絶滅してしまったと考えられています。)この時代は前述の通り正に恐竜の時代です。 小型の哺乳類は森の奥で夜行性動物として恐竜の目を逃れ、生活を送っていたようです。また、この時代のご先祖さんの姿は、ネズミのような輩が大部分だったと考えられています。

10)ジュラ紀 (1億9千5百万年前〜1億3千8百万年前) [12月16日]
 この時期、1億5千万年前に恐竜(爬虫類)の一派が進化し、鳥類が出現します。

11)白亜紀 (1億3千8百万年前〜6千8百万年前) [12月20日]
 この時期、7千年〜6千年前に哺乳類の一部が進化し、霊長類(サルの類)が出現します。
白亜紀後期の我々ご先祖さんの姿は、ブルガトリウスというサルだったと考えられています。

12)暁新世 (6千8百万年前〜5千万年前) [12月26日]
 この時期、我々のご先祖さんであるブルガトリウスはアプロリーネ(というサルの類)に進化します
また、今から6千5百年前に地球上では生態が著しく変化する大事件が起こります。有力な説としては大隕石の衝突です。 ディズニー映画ダイナソーにも出てくる一幕が実際に起こったようです。 その大事件を記に、今まで天下だった恐竜、アンモナイト等は突如絶滅してしまいます。

13)始新世 (5千万年前〜3千6百万年前) [12月27日]
 この頃、恐竜の絶滅によって今まで森の中でこそこそと生活してきた哺乳類が、活躍の場を広げて目覚しい進化をはじめます。 植物は今まで優勢だった松柏類やシダ類が数を減らし、それに変わって顕花植物が発展します。 また、この時期の我々のご先祖さんはより猿に近い形態をとり始め、真猿類、狭鼻猿類が誕生します

14)漸新世 (3千6百万年前〜2千2百万年前) [12月28日]
 我々のご先祖さんは、ヒト上科に進化します。3千万年に木の上で枝に尻尾を巻きつけて生活するエジプトピテクスが誕生します。
      エジプトピテクス

15)中新世 (2千2百万年前〜550万年前) [12月29日]
 我々のご先祖さんは、プロコンスル、ケニアピテクス(脳容積:300cc)など、より猿に近い形態に進化します
(猿に近い形態となったのは、地球の歴史の1年暦からすると12/29。大晦日間近です。本当にごくごく短いもので驚きです。)
      プロコンスル   ケニアピテクス

16)鮮新世 (550万年前〜180万年前) [12月31日 20時]
 我々のご先祖さんは、いよいよヒト科に進化します。社会の教科書にも出てくる人の直接的先祖とされるアウストラロピテクスなどがこの時代に誕生します。 このヒト上科とヒト科の境には大きな変化があり、ヒト科に属すアウストラロピテクスは二足歩行の能力を獲得したことが挙げられます。 この能力を獲得したのを皮切りに、ヒトは他の生物とは違った独特の進化を歩んでいくことになります。(二足歩行は地球の一年暦では紅白歌合戦最中!) 霊長類の発生当初は恐竜の時代のなごりから森林の中での生活が主でしたが、恐竜が絶滅して一気に生活の場を広げていきます。 また、恐竜絶滅の起因となった大きな環境変化による森林の縮小から、人間の直接的先祖とされるアウストラロピテクスへと進化した一派は、 生活の場を森林の中からサバンナの草原の中に移したと考えられています。 草原の中にはたくさんの肉食動物がいたと考えられ、アウストラロピテクスもその生活の場の中で草原の他の動物との間で競争しなければならなかった環境が考えられます。 これを背景に次のヒトらしい生活形態を身につけます。
 1)二足歩行により視線が高くなり辺りの見通しが良くなった。空いた上肢(手)で石や棒をつかんで近づく敵から身を守る術を身につける。
 2)厳しい環境を生き抜くために大人数で生活したほうが有利となり、集団生活をする能力を身につける。

[筆者の想像: このような生活形態(特に集団生活)に変わると、自分の生死は集団として如何に高いアウトプットを出すかという問題に依存してくるので、 うまく集団中の他の輩と協力関係を築くかという能力が要求されてきます。そこで、@うまく協力するためには、A仲間との間で争い事を起こさないためにはどうするか  等等の思考能力が必要となってきます。集団としてうまく機能すれば皆生き残るし、内紛で共倒れになれば皆死ぬわけです。この自然淘汰により、頭の良い集団が生き延びていったと考えることができます。 これが、人が高い知能を有するに至ったきっかけになったと思います。]

@360万年前:我々のご先祖さんは、アウストラロピテクス・アファレンシス だったようです。
      アウストラロピテクス・アファレンシス

A300万年前:我々のご先祖さんは、アウストラロピテクス・アフリカヌス(脳容積:400cc〜500cc) だったようです。
(雑食性、化石発掘的な根拠から、石を加工する能力があったとされる。しかし、精巧なものではなくまだまだ不器用)
 ※アウストラロピテクス・アファレンシスがアウストラロピテクス・アフリカヌスに進化して、その後ホモ・ハビリスに繋がったという説と、 アウストラロピテクス・アフリカヌスはアウストラロピテクス・アファレンシスの一分岐に過ぎず、アウストラロピテクス・アファレンシスからホモ・ハビリスに直接進化した説があるらしい。
      アウストラロピテクスアフリカヌス

B200万年前:我々のご先祖さんは、ヒト科ヒト属 ホモ・ハビリス(脳容積:674cc〜770cc) だったようです。
 ホモ・ハビリスとは「能力のあるヒト」という意味があるとか。化石から刃物や加工された礫(丸石)を作る能力があったと推測されています。また、脳の発達も進み、頭蓋骨内の血管系の広い分布、 前頭野、前頂野が発達していたことが分かっています。また、文節程度の言葉や記号を使っていた、居住地として川や湖のほとりを選んで小動物を捕獲する狩をしていた等と考えられています。
 また、化石の解析から、ホモ・ハビリスは脳が発達して幼児期が長くなったこと、子供の世話のために男女の役割分担があったこと、小枝を集めて小屋を作り家族ごと生活していたことなどがわかっています。 より複雑な協力関係や社会の考え方が誕生したわけです。 生活の様式も、ただ@子供がほしい、A飯が食いたい、B長生きしたいという本能的なものから、どうすればそれを実現できるか? という頭を使った思考的な生き方に変わっていきます。
      ホモ・ハビリス

[筆者の想像:なぜ脳の発達が進むと幼児期が長くなるのか? 生物の三大基本欲求は、@子供がほしい、A飯が食いたい、B長生きしたい であるということを前述しました。 単純にこれを履行するだけならば、協力とか集団とか特に考慮する必要はありません。しかしながら、この時期のホモ・ハビリスのようにより複雑な協力関係や社会性が必要とされると、 各々の個体が集団として最高のパフォーマンスを発揮するようルールを理解し、それに従い行動する必要があります。社会が単純であれば身につけるのも容易ですが、 複雑になればなるほどそれを身につけるのは難しくなります。よって、新たに社会に参入する幼児に対するルールの叩き込みも時間を要することにつながるわけです。]

17)更新世 (180万年前〜1万年前)
 我々のご先祖さんは、この時代に現在のヒトと同様の形態に進化したようです。
@160万年前:我々のご先祖さんは、ホモ・エレクトゥス(脳容積:850cc〜1200cc) だったようです。
 この時代、気温の上昇、下降が交互にやってくるといった気候の変化があり、ご先祖さんは以前より乾燥し、寒くなった気候に対応する必要がありました。 また、より生活しやすい資源豊富な場所を求めてアフリカからユーラシア大陸等への移動を始めたといわれています。ユーラシアでの厳しい気候(寒い)に対応するため、 獲物を捕獲するための石器はさらに精巧になり、社会組織はより複雑になり、火を使い始めたと考えられています。この時代に動物の皮革で身体を保護することを覚え、 植物が豊富な渓谷沿いを移動し、何世代もかけて何千kmの移動をして生活地を拡大していったようです。
A150万年前:我々のご先祖さんは、ホモ・サピエンス・アルカイコ だったようです。

       ホモ・エレクトゥス  ホモ・サピエンス・アルカイコ

B35万年前:いよいよ、ホモ・サピエンス・サピエンス (現在のヒト) (脳容積:1200cc〜1400cc)となります。
      ホモ・サピエンス・サピエンス

18)完新世 (1万年前〜現在) [12月31日 23時59分]
 我々のご先祖さんは、この時代になって初めて農耕技術や文字の発明など文明を起こします。(なんと、文明が起こったのは、地球の一年暦では行く年来る年の107回目の除夜の鐘が鳴る頃!) そして、中学校で学習する歴史の授業(原始時代、石器時代、・・・・・)で学習したような各々の地域における様々な背景をもとに、色々な文化、技術を身につけ、争いを繰り返し、現在の社会が成り立ちます。


目次へ

◆まとめ

 以上が、ヒトが始原細胞から進化してきた流れです。地球が生まれた時を1月1日、現在までを1年間とした地球の1年暦では、2月26日に最初の生物が生まれます。 生物は@子供がほしい、A飯が食いたい、B長生きしたいという欲求を求め、厳しい環境の中で上手く生き残るために進化を試みます。6月8日になってようやく教科書に載っているような真核細胞に進化します。 より効率的に生殖活動をおこなったり、ご飯を食べたりするために色々な形態をとり始めたのは、もう年の瀬といっていい11月15日、陸上への進出は11月28日、 ヒト科ヒト属になったのは12月31の21時00分頃、文明を築く現代人類まで進化したのは12月31の23時59分です。
 ヒトの歴史というのは地球の歴史から見ると本当に希薄なものであることを実感できます。また、16)鮮新世のところで、ヒトが二足歩行を始めたことがヒト特有の “頭を使う”能力に長けた生き方のきっかけになったことを述べました。頭を使うといっても、すべての生物が備える三大欲求の度合いが他の生物より長けているのではなく、 道具を使ったり、言葉を交わしたり、物事を思考的に判断する部分である(後で述べますが)“大脳”が特に発展するという進化を遂げたのがヒトの大きな特徴です。 ほかの生物や進化の過程における大脳の発展度合いを定量化するための指標として「大脳化示数QE値」(ハリー・ジェリンソン氏 提唱)というものがあります。 これは、実際の脳の重さと現生哺乳類の平均から求めた理論上の重さの関係を表すものですが、哺乳類の平均的な脳化係数0.21に対し、原猿類 0.55〜1.75、猿人類2.1、 アウストラロピテクス・アフリカヌス3.8、ホモ・ハビリス4.2、ホモ・エレクトゥス6.5、そして現在のヒト8.0であり、ヒトの大脳化係数は高いことがわかります。

 このようにヒトは(幸か不幸か)生きるすべとして、考えたり、感情を持ったりという思考することを利用する生き方を選んできた動物であるということができます。
 後述する体の仕組みの章でふれる予定ですが、大脳の思考するという指令(大脳新皮質[ヒトの知的に思考する能力野]からの指令(ヒトの脳の90%を占める))は 本来生物が生きていく原動力となる@子供がほしい、A飯が食いたい、B長生きしたいという三大欲求を司る部分(大脳辺縁系[本能的な欲求を発する野])の指令にも干渉できるまでプライオリティがあがり、 他の生物には真似できないすばらしい能力でありながら、いざ使い方を誤ると生物の大原則をも脅かす怖い能力にもなっているわけです。そもそも始原細胞から始まり、 三大欲求をより高品質に実現するかを目的に自然淘汰の原理によって色々な形態に変化した結果、個体の一部の形態がその個体自身の存続を脅かす能力も備えてしまったとは何とも皮肉的なものです。 しかし、備わってしまった体をもつ我々は自然淘汰の進化の原則から後戻りすることはできません。前進あるのみです。最大限に機能を使いこなしてうまく付き合っていくしか無いのです。

 本章を読んでいただいて、ヒトがどのような生き物か進化的側面から見た特徴をわかっていただけたと思います。本HPでは、以降に体の仕組みや病気の仕組み等について述べていきますが、 それら原理の根底には始原細胞から分化して多岐に広がった生物同士の生存競争、協力関係、などが緻密に絡みあっています。細胞の“生きたい”という本能が、個体の中で器官を構成して協力しあったり、 自らの種の存続のために他の生物の体を借りたりと非常に巧みです。私たちの体は40億年前に誕生した始原細胞が、生物の三大欲求を追及した結果たどり着いたひとつの細胞共同体です。 最高のパフォーマンスを発揮するために60兆個の小さな生き物が協力しあって生きているのです。この事を念頭に体のことや、病気のことを考え、日々の生活を送ることが、 本質的に健康な体を保ち幸せな毎日をおくること、また、後世にうまく継承していく結果に繋がっていくと私は思います。
 いよいよ次章から病気のメカニズムや体のしくみについて勉強したことをまとめていきますが、そのすべては生物が生まれたときから抱いた三大欲求の遂行と、 それをうまく実施するための工夫、適応、協力関係、敵対関係が根底にあることを記憶に留めておいてくださいね!

参考文献
1)生物の歴史 (木村資生、大沢省三 編) 岩波講座−分子生物科学3 岩波書店
2)人類の起源 (フィオレンツォ・ファッキーニ 著 片山一道 監訳)  同朋舎出版
3)Wikipediaフリー百科事典
4)ガンをつくる心 治す心 (土橋重隆 著) 主婦と生活社

目次へ  TOPページへ



This homepage is written by Shoman Woody.