蟹座に学ぶ色々 - Things learned from Cancer -

■第1章 蟹座を学ぶ (Contents)

 本ホームページでは”癌”を意味する英語”Cancer”の異義、”蟹座”を借りてタイトルとしています。 癌を表す単語が蟹座”Cancer”の異議を用いるようになった背景は、癌細胞を取り巻く血管が蟹の脚に似ていることなんだとか。
“癌”という病名を聞くと不治の病、日本人の死亡原因堂々一位の病と、正に人生の終わりと直結するブラックイメージがあります。 でも今や3人に1人(注釈1)が遅かれ早かれかかる病気ですごくポピュラーな一面もあります。 “江戸時代では3000人に1人かかったか”等と記載された文献も見たことがありますが、ここ200年弱で1000倍に発生率があがっているわけです。(出処は怪しいですが、まあ参考まで...) では、何で今日では癌という病気がこんなにポピュラーになったのでしょうか?また、太刀打ちできるのでしょうか?「医療技術が発達すればいつか...」と思われる方もいると思いますが、 「時代劇でおなじみ“養生所”があった江戸時代から比べても、現在までの200年弱で医療技術は格段に発達したのでは?」「あれ?そうだった!」 では何でこんなことになっているんだろう???」皆さん、不思議に思いませんか?
 この矛盾をひもといていくと、どうやら原因は私たち自身が作り出している様です。私たち自身が?と疑問に思う方が殆んどだと思いますが、私たち自身をいろいろな面から見つめなおしてみると、 この結論が正しいことが段々わかってきます。ここ数世紀の技術革新と医療技術の発展が背景にありながら、なぜ癌患者が増え続け、また治せないか?技術革新に伴い私達の生活がどう変わったか? 色々と見つめなおしてみましょう。すると、色々な諸悪の根源が見えてきます。原因がどこにあるかがわかってくると、今度はどう改善するか?というアイデアが色々と湧いてきます。後述しますが 癌という病気はウィルスや細菌感染病とは全く異なる性質の病気であり、正に“生活習慣病”です。つまり、私たちの生活習慣を見直し改善することで発病しにくくすることや、 治癒に至らしめる可能性が大いにあるわけです。でもこの“改善”と一言で表現できる言葉ですが、いざ実行しようと思うとそうそう単純なものではありません。実に複雑な要因が絡み合っています。 では難しいの?というとそうでもありません。ただ改善を実行するにあたり、自分の体についての最小限の知識を理解し、うまくコントロールしていく必要があるのです。 これが出来るか出来ないかで結果が大きく変わります。
 本ホームページでは蟹座(癌)をキーワードに人間の体を筆者の体験を通じた多方面からの視点において見つめ直し、癌治療をはじめ、健康維持方法、心の持ち方、医療のあり方、社会のあり方、 等々を記してあります。すでに癌で悩む人をはじめ、“癌や病気の事なんて考えた事もない!”という人まで、このページを見たのも何かのご縁!眺めていってください。新たな発見があるかもしれませんよ。

注釈1:[人口動態統計から日本対がん協会作成の資料において H12年度 全死亡者数961,637 内死因が癌によるもの295,399人]

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◆癌はどんな病気?なぜ治りにくいの?

  (癌の発生から進行のステップ、また、不治の病といわれる由縁を紹介します。敵を知れば攻略法、予防法も見えてくる。)

●癌細胞の発生

 私たち人間の体は約60兆個の細胞からできているといわれています。(最近はやりのコンピュータ用語的にいうと、60,000,000,000,000=60T[テラ]個となります。) 細胞については後述します。体の中では古く使えなくなった細胞を捨て、新しい細胞に置き換える新陳代謝が日々営まれていますが、 この新しい細胞が生まれる過程の中で何らかの外乱が加わると細胞の遺伝子に異常が生じた欠陥細胞が発生します。 外乱の種類として、化学物質、電磁波、放射線被爆、ウィルス侵害、などの説があると言われていますが、 各外乱から欠陥細胞が発生する詳細メカニズムは明確になっていません。 この欠陥細胞の中でも次のような厄介な性質を持つ細胞がまれに発生し、これを総称して癌細胞といいます。 特に難しいことはなく、非常にシンプルなルールです。

 ◆癌細胞の厄介な性質
(1)癌細胞は他細胞との間の秩序を鑑みず、自ら増殖することのみを目的とする
(2)癌細胞は自らの生存のため血管形成機能を有し、正常な細胞に浸潤する
(3)癌細胞は自らの生存のため、局所から遠隔転移する能力を持つ

 何だそれだけか!(・Θ・)!と思うかもしれません。しかし、シンプルなルールにごまかされてはいけません。 体の中でこのシンプルなルールを実行する輩がいたら...という事を考えてください。 ここで体を私達の住む社会に例えて考えてみましょう。ポイントは@秩序を鑑みず、自分勝手に増殖すること、 A自ら住み心地が悪くなると元々先住していた正常な細胞を打ち壊して侵出してくること、 Bそんな輩が体中どこでも自由に旅ができ、@Aの活動をすることです。 つまり、体の中で暴力団みたいな細胞がどんどん増えて、各地区に勢力拡大し、 堅気を凶器で次々と殺していくわけです。とても恐ろしいですよね!

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●癌細胞は無敵?(癌細胞の発生から発病)

 私たちは日々様々な外乱下で暮らしていますので当然の如く体の中では欠陥細胞が生じ、1日に数千個程の癌細胞が生成されているとも言われています。 通常このような欠陥細胞が発生しても人間の体の中では欠陥品を攻撃、無力化、排除する仕組み(免疫機能など)が備わっています。 この仕組みのおかげで、たとえ特定の外乱を受け欠陥細胞が発生しても、その殆んどが免疫細胞の攻撃を受けて破壊され体外に排出されてしまいます。 欠陥細胞が癌細胞であった場合も同様です。白血球中のキラー細胞などが多種の癌細胞を攻撃して破壊することは科学的研究によっても証明されています。 つまり、癌細胞は無敵ではないのです。
 癌細胞は無敵ではなく、私達の体の中で排除される仕組みもあるのに何故発病にいたるのでしょうか?大きな疑問を生じます。 この背景には生物の本能的部分というか、“サバイバル”という言葉の本質的な意味を再認識する正に“生きる”ための競争の仕組みがあるわけです。 この“生きる”という部分については後述しますが、まずはともあれ、癌という病気がどのように発病にいたるのかをまとめましたのでここから頭を整理していきましょう。

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◆癌細胞の増殖、血管形成、浸潤、転移

 癌細胞の詳細や癌の発病のメカニズムについては色々な書籍に掲載されていますが、私が読んだ本[“がん休眠法” 高橋豊 先生(金沢大学がん研究所助教授)著]の中で、 癌細胞をマフィアに例えた説明がされていました。大変わかりやすい説明だったので、ここでもマフィアという表現を借りて説明します。 詳しくは、高橋豊先生の書籍を参照ください。(※抗癌剤治療に関する新しいアプローチが述べられています。)
 ここでは、体の中の細胞一つ一つを一人の人間に例えて説明します。人間の体は骨、筋肉、内臓、等の様々な器官が集まって構成されています。 細胞を一人の人間に例えると、各器官がある目的をする会社や役所の様な位置付けになり、それがいくつも集まって人間を構成するので人間は一つの国と例えることが出来ます。 つまり人間(国家)は、器官(会社、役所、などなど)の集まりであり、その各々が細胞(一人一人の個人)によって構成されているわけです。 正に私達が暮らす社会が、体の中でそっくり構成されているイメージです。前章で癌細胞は3つの厄介な性質を持つ欠陥細胞との話をしました。これがマフィアです。 これに対し、その他の正常細胞は堅気の人間とします。
 では癌とういう病気のステップをみていきましょう。

●癌細胞の増殖

 ある国家の中で各民は健全に活動を行い国も活気づいています。(健康な体です)しかしながら国家のある部分に異変が発生し、局部での治安が悪くなりました。 その結果マフィアの道を歩み始めた輩が現れました。(癌細胞の発生です)マフィアは@自らの仲間の発展のことだけを考え、A健全の民に危害を加えて自分達の利益を獲得し、 B国中自由に旅をして勢力拡大を計ります。
 通常国家(私たちの体)には、自衛隊や警察等の防衛&治安維持組織(免疫機能)があります。つまりマフィアもこれら治安維持組織に取り押さえられて社会から排除され無力化します。 一日に数千人のマフィアが確保されているわけです。この説明だけを聞くと何だ簡単だと思うかもしれませんが、 マフィアを捕まえるのは治安維持組織の中でも特殊警察等のかなり優秀なチームワークを持った治安部隊が担当しています。
 国家(私達の体)は毎日の生活の中で異種の侵略者(細菌、ウィルス等)による攻撃を受けています。この侵略戦争は大変長い歴史があり、 この歴史のおかげで治安部隊は侵略者を退治する大量のノウハウを持っています。ここでマフィアと侵略者の違いですが、侵略者は外界からくる異種生物であり (良く映画に出てくるエイリアンや宇宙人、ゴキブリのでかいやつ等を想像して下さい)、容易に国家を構成する民との違いを判別することができます。つまり、誰もが一見して 「あっ!敵だぁ〜!やっつけろ!」と言える輩なのです。だから治安維持組織も容易に判別して確保することができます。 (中には治安部隊を欺くものや、治安部隊を攻撃の対象にする賢い奴もいますが... これはまた別の機会に触れます。) しかし、マフィアはどうでしょう?想像してみてください。 マフィアはもともと健全な民が何かをきっかけにぐれてしまったものです。刺青をしていたり、人相が悪かったりと、堅気とはちょっと違う特徴があるのですが、 堅気かマフィアかを見分けるのは慎重を要します。堅気にも人相の悪い人や刺青をしている人がいるわけです。疑わしきは皆逮捕せよ!では堅気の人々も相当な被害を受けます。 よって治安部隊の中でもごく一部の優秀な捜査チームのみがマフィアを見分け確保、排除するわけです。
 国に活気があり、各会社の景気も良く、役所の人間もしっかりとした給料をもらっていて、すべての民が気持ちよく自分に与えられた役割分担を果たしているとします。 治安部隊も円滑に機能しており、少々のマフィアが発生しても侵略者が不法侵入してきても適切な行動により確保されます。これが人間が健康な状態です。
 一方、色々な外乱が加わり国家の一部や全体が機能しなくなったとします。すると機能しなくなった会社や役所(器官)を中心に国家に異変と不具合が生じます。これが病気であり、 機能不全の会社や役所(器官)の名前を借り、機能不全の内容も併せて病名がつきます。
 では癌は何が悪くなった病気でしょうか?先ほども述べましたが、癌細胞はマフィアであり少数であれば治安維持部隊により取り押さえられます。 しかしながら、マフィアが発生してしまう色々な圧力が国家に加わり続けたり(化学物質、放射線、過度のストレス等に長くさらされる) マフィアを取り締まる治安維持部隊がうまく機能しなくなると、マフィアはその厄介な性質に従い増え続けます。これが癌の発病のメカニズムです。 つまり、癌は免疫疾患のカテゴリに入る病になります。

    癌発病のキーポイントは、
     (1)発癌の要因となる外乱下に長くさらされる状況が続くこと
     (2)癌細胞を発見、駆除する免疫系がうまく機能しない体になってしまうこと
    です。細かい事は数え切れない程たくさんあっても、まとめるとこの2点に集約できます。

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●癌細胞の血管形成、浸潤

 治安維持部隊の警備を逃れてマフィアも個人の活動から組織へ拡大すると、アジトを築いて更なる拡大を計ります。このアジトが形成された場所の名を借りて胃癌とか肺癌とか区別されます。 マフィアはとにかく組織の拡大を目的として派手に行動するので、堅気に比べて大量の資金や食料等の物資を必要とします。 そのため、アジトを築いたところから堅気の領域を壊して自らの物資調達、供給用のルートを構築します。これが、癌細胞の浸潤、血管形成です。 (良性の腫瘍と癌との違いの一つとして、堅気の正常組織を侵すかそうでないかといった部分が挙げられます。)こうしてマフィア組織への供給ルートを構築し、 組織への物資の流れを良くして限りなく拡大を続けます。またこの供給ルートは転移の際に自らの仲間を通す役割もします。 この拡大のスピードは、各々のマフィアがきまって自らの増殖のことだけ考えますので、各マフィアが皆増殖に成功したとすると1が2、2が4、4が8、8が16、16が32と増えていきます。 5回の増殖で16が32くらいの規模ならたいしたことはありませんが、マフィアがもし順調に20回増殖したら?たった20回の増殖で100万個を越えるわけです。 30回ならば10億個越です。こうなると治安維持組織の免疫機能も数の問題で太刀打ちできない状況となってきます。これゆえに、癌は早期発見と対処が必要といわれるわけです。

[参考]10億個の癌細胞の大きさは、約1センチとのこと。(“がん休眠法” 高橋豊 先生(金沢大学がん研究所助教授)著より)

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●癌細胞の転移

 癌がアジトを形成して増殖を続けると、一部のマフィアはそのアジトでの生活に物足りず別の場所への勢力拡大とアジトの形成を計ります。 こうして最初のアジトから離れた場所に別のアジトが形成されることを転移といいます。転移が起こりマフィアの拠点が増えると、治安維持部隊は益々手におえないてんてこまいの状態になります。 こうなるとマフィアは活動しやすくなり、更なる勢力拡大も容易になります。

 以上のステップに沿ってマフィア(癌細胞)はどんどん大きくなり勢力拡大していきます。マフィアも勢力拡大後の弊害を考える能力があれば最終的に自分にふりかかる危害を防ぐことができますが、 本当に単純に勢力拡大のみを実行して堅気(正常な細胞)を侵します。すると、堅気の健全な活動によって支えられていた国家(体)はどこかしらの機能不全を皮切りに崩壊していきます。 そして、国が滅びます。つまり死にいたるわけです。もちろんこれと同時にマフィアも滅びます。マフィアは自分の勢力拡大のみ考え、その結果自分の破滅を導くわけです。

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◆現在、国が認めた保険適用される三大癌治療法

 前章で、癌の発病から進行のステップについて概要をまとめました。一度癌細胞が発現するとねずみ算的に数が増え体にダメージを与えます。そして、その活動は発病した人が死に至るまで継続されます。 この話を聞くと本当に恐ろしいですね。さあどうすればよいでしょう?たちの悪い癌細胞をやっつけたい、取り払いたいと思うはずです。
 では現在病院において行われている治療法について紹介します。皆さんが直感的に浮かんだ“やっつけたい”、“取り払いたい”という思想にベストマッチした治療法が用意されています。 また、これら治療法は癌が増殖する各ステップにおける細かなメカニズムが深く研究され、そこで得られた科学的知見から体内の “癌細胞の撲滅”を目的とした実に理にかなった方法であるということを 言及しておきます。 これら治療法は実にすばらしいものですが、私たちの体全体や生活自体のことまでを背景に考えると賛否両論が出てきます。 この賛否については後で触れるとして、ここではとりあえずこの三大療法の概要について述べます。 また、「体内の“癌細胞の撲滅”を目的とする」というキーワードは後で諸々の検討の際に再び現れますので 心に留めておいてくださいね。

●手術療法 (マフィアのアジトを掻っ攫え!)

 癌の進行過程については前述しましたが、初期のうちは局所に着床して大きさも小さい状態ですので健康な細胞への被害も小さい状況です。つまりマフィアのアジトが限定され、 勢力もあまり大きくない状況といえます。この場合、そのアジトさえなくしてしまえば、社会からマフィアはいなくなります。このアジトの撤収作戦が手術療法というわけです。アジトの場所や発見時の規模により、 撤収する範囲が異なります。マフィアの存在を0(ゼロ)にするわけですから非常にすっきりとした感じがします。しかし、アジト付近に散在するマフィアの存在も考慮するので、 0にするためにアジト周辺の広範囲を撤収するのが一般的です。
 例えが悪いですが、マフィアのアジトが静岡県三島市大宮町にあることがわかった場合、三島市全体をガバッと土地ごと皆無にする処置をとるというイメージです。三島市大宮町のマフィアのために、 全三島市民が犠牲になります。一国の長である貴方は国を守るためにこの犠牲を許すか許さないかの判断を迫られます。これが東京都渋谷区のセンター街にアジトがあったとします。 人通りも多くマフィアは一般人に紛れて散在している可能性もあります。全渋谷区民と近隣区民の犠牲もやむなしと判断できるでしょうか?一般市民の犠牲者の数もだいぶ異なります。 また撤収作戦の難易度も変わります。(三島市の皆さんや渋谷区の皆さんには不快な表現となりましたが、あくまでひとつの例えであり、ここの住民の方々を誹謗中傷する意図は全くありませんので、 その旨ご理解の上、ご容赦願います。)
 手術療法は患者にとって、癌の発生部位や進行程度によって摘出しなければならない範囲とリスク、その術後遺症等が悩みの種になります。医療技術の進歩により、 癌細胞の全摘出はもちろん正常部位への損傷も最小限にする技術が次々に生まれている様ですが、体を構成する細胞一つ一つの視点から見ると正に上記の悪い例えの様にかなり過激な治療法といえます。 避けて通れるならばなるべくしたくないですよね。

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●化学療法 (毒盛りで敵を殺せ!)

 マフィア(癌細胞)の特徴として、@とにかく組織の拡大を目的として派手に行動し、堅気に比べて大量の資金や食料等の物資を必要とすること(増殖に際し正常細胞より多量の栄養エネルギーを必要としている)、 A資金や物資調達のため供給ルートを形成すること(血管形成機能を有し、正常細胞に浸潤すること)、B勢力拡大のため、遠隔地に移り住むこと(転移機能を持つこと)を前述しました。 この性質を逆手に利用しマフィアに毒盛りをする治療法が化学療法です。
 化学療法と一言でいってもその中身は非常に多岐にわたります。癌細胞について多大な研究がなされており、その特徴を逆手に取るさまざまな薬が開発されています。一般的にこれら薬は抗癌剤、 制癌剤などと呼ばれます。薬についてはまた折を見て記事を追加していこうと思いますが、基本的な考え方についてここで記します。
 抗癌剤が生まれるきっかけとなった発想は細菌を殺す抗生物質(1929年 アレクサンダー・フレミングがペトリ皿(シャーレ)で培養中の細菌がペニシリアムという青カビ属が生えてしまった近くで成長しないことを 発見したことで発展した薬。つまり、青カビには無害で細菌にとって有害な物質。)と同様なコンセプトからきているそうです。以下の様なシナリオです。
 マフィアは自分の勢力拡大のため堅気の人々より多量の物資、栄養を必要としています。いわば“食いしん坊”の集まりです。よって食べ物の中に毒を入れてやれば堅気の人々より多くの毒を取り込んでしまいます。 その結果マフィアは死に至ります。一国の長である貴方は、堅気の一般市民にも迷惑がかかるのを承知で全国の水道や食品メーカーを通じて毒の混入を開始します。毒の種類、量は一般市民の死傷者を最小限に、 またマフィアの死傷者は最大限になるよう良く研究されたデータをもとに設定されます。これが化学療法、抗癌剤治療の本質です。マフィアが苦しみ死んで行くのは結構ですが、一般市民の苦しみを想像してみて下さい。 とても大変ですよね。これが抗癌剤で皆が苦しむ副作用なわけです。髪の毛が抜けてしまったり、嘔吐したり、筆者自らも体験者ですので良くわかりますが、その不快感は相当なものです。
 ここで抗生物質は人体にとってそんなに大きな副作用がなく細菌が殺せるのに、抗癌剤でなぜ癌細胞を殺しにくいか?という疑問が生じますが、ここに敵がもともと種が全く違う異生物か、 もともと同じ人間だったかという差にあります。“生物とは何ぞや?”の章において説明しますが、細菌やウィルス等の異種生物間との闘争は、全生物間においてとにかく長〜い歴史の中で淘汰され、 強力な武器を身につけてきた歴史があります。したがって効果の大きい武器を備えたものもいるわけです。抗生物質はその武器のノウハウを人間に適用できるように改良したものです。 しかし、癌はもともとが自分自身の細胞です。堅気がマフィアになってしまっただけです。つまり殆どの部分は堅気と同じです。それゆえ、マフィアだけを倒す強力な武器がないのも当然です。 もしあったとすればそれは堅気も倒す強力な武器となります。
 また、単純に毒盛りではなくマフィアの増殖を阻害する薬もあります。これは増殖の際に必要な物質の流通を阻害してマフィアを秤量攻めにする方法です。マフィアは増殖したくても必要な食料、 物資がないため増殖できません。これらは代謝拮抗剤というカテゴリで広く使われています。この方法の副作用ですが、当然一般市民への物資の供給も不便なものとなり、代謝が盛んな部分において影響を受けます。 髪の毛が抜けてしまったりします。
 秤量攻めという観点は同じですが、別のやり方で行う戦略もあります。マフィアは物資供給のために供給ルート(血管)を新生しますが、この新生を抑える薬も開発されつつあります。 供給ルートが作れない結果、マフィアは物資の供給を受けることができず増殖が阻害されます。血管新生を抑える薬については、2007年3月現在ではまだ病院で処方を受けるには至っていないようです。
 その他、マフィアを自殺に追い込む薬、マフィアのアジトに病気を蔓延させる薬など新たな発想で研究開発が進んでいるようです。
 新たな薬はたくさん開発されていますが、現在(‘07年3月)病院で処方、投薬される抗癌剤のすべてにおいて、副作用があることは間違いありません。前述しましたが、 基本的にやっていることは毒盛りですので癌細胞のダメージを受けますが、正常な細胞のダメージも同様にダメージを受けます。するとどのような事が起きるでしょう? 前章で、癌は体内の免疫細胞を逃れた欠陥細胞が増殖する病気であることを述べました。
   癌発病のキーポイントは、
     (1)発癌の要因となる外乱下に長くさらされる状況が続くこと
     (2)癌細胞を発見、駆除する免疫系がうまく機能しない体になってしまうこと
   でしたよね。
 化学療法は癌をやっつけるという大義の裏で、正常細胞もやっつけます。すると、発病のキーポイントである(2)の項目を薬を飲むことであえて作ってしまうことにもなるのです。これは大きな矛盾です。
 最近、医師の中でもこの矛盾に悩む人々が出てきました。本ホームページにおいても参考にさせていただいた「がん休眠法」を執筆した高橋豊先生もその一人です。私がお世話になっている主治医の先生にも、 抗癌剤の投薬量などについて疑問を問いかけましたが、「論文などでの裏づけがない限り変更できない」との回答をもらっています。確かに医師はいい加減なことはできません。 しかしながら、この矛盾がありながら論文が出るまで現状維持というのもどうかと思います。この背景には、厚生労働省の薬の認可の仕方、薬の認可に至る効果有無の判定基準などシステム面における問題も多々あるようです。 これについては、ベストマッチするトピックス記載の際に触れる予定です。

―余談―
 患者として気をつけるべきことは、医師の言うことを丸呑みにしないということです。今はインターネット検索やピルブックなどで容易に薬の情報を得ることができるので、自分でしっかり納得してから臨みましょう。 最近はインフォームドコンセント(告知と同意)をとることや、セカンドオピニオン(別の医師に第二の意見を聞くこと)が推奨され、病院においてもこれを受け入れてくれますので積極的に利用しましょう。

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●放射線療法(敵のアジトを焼き払え!)

 放射線療法は放射線を利用してマフィアのアジトを攻撃する治療法です。リニアックというX線を利用した治療機をはじめ、陽子線照射装置、重粒子線照射装置などがあります(国立がんセンターHP参照)。 アジトの形成部位、様態、大きさなどによって使用する装置を選択します。
 この治療法は文字通り放射線のエネルギーを利用して、マフィアのアジトを攻撃しマフィアにダメージを与えるものです。核兵器や原子力発電所が怖い、危ないという感覚がありますが、 これも放射能から放出される放射線が高いエネルギーを持ち人体にダメージを与えるからです。(放射線についての説明も折を見て追記していく予定です。) 放射線療法では前述した装置によってアジトに放射線を照射したり、放射能を有する物質を含んだ針をアジトに刺してアジトに潜むマフィアにダメージを与えます。 そして、深いダメージ受けたマフィアは活動の勢力を失うというからくりです。 マフィアのアジトのみに放射線の照射を限定できればベストですが、周囲の一般市民の領域にも少なからず照射されてしまいます。ゆえに善良な市民がダメージを受けた部分については国も損失を被り、 これが副作用として現れます。しかし土地ごと掻っ攫う手術療法に比べて副作用が軽いという利点もあります。(本人の体験ですが、軽い副作用といっても照射部の皮膚がむけたり、脱毛したり、 また照射部の痛みは結構なものがあります。)
 この治療法は手術の難しい部分に患部があった場合、体に与える手術のダメージが大きい場合等をはじめ広く用いられています。 (国立がんセンターがん対策情報センター(http://ganjoho.ncc.go.jp/)の放射線療法のページに概要がまとめられていますのでこちらを参照ください。)

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◆まとめ

 以上が癌発生のメカニズムと癌に対する三大治療法の概要です。三大治療法の説明ではどれも体内の“癌細胞の撲滅”という観点からは理にかなったものであることを理解していただけたと思います。
 でもちょっと待った!!癌細胞は性質が悪く撲滅が大切だということはわかりましたが、そもそも癌発病のキーポイントは何だったか振り返ってみましょう。
  (1)発癌の要因となる外乱下に長くさらされる状況が続くこと
  (2)癌細胞を発見、駆除する免疫系がうまく機能しない体になってしまうこと
でしたよね。ではこの三大治療法はこの2点を改善しているでしょうか?答えはNoノーです。化学療法においては、治療によって(2)の状況を作り出してもいます。 このように三大治療法は“癌細胞の撲滅”には効果がありますが、癌発病の原因となるキーポイントの改善はなされないということです。
 するとどうでしょう。こんなことも起きるかもしれませんよ。

 幸運なことに癌が早期に見つかり、手術によって無事に取り去ることができました。あ〜良かった良かった。安堵に浸ってまた元通りの生活を始めます。しばらく経った定期検査で医師が言います。 「検査の結果、別の部位に癌が発症しています。治療が必要です。」  ガーン!! (筆者もこんな状況の繰り返しです。この諸々の反省からこんなHPを書くに至っています。)

 こうならない為にも、あなた自身が日頃から生活に気をつけ、癌発病につながる2つのキーポイントに該当しないように心がけなければなりません。“癌になったら病院に”と思うかもしれませんが、 今現在病院にいっても上述した三大治療法の内のどれか最適なものを行ってくれるに過ぎません。この治療法はとても理にかなったものですが、体内の“癌細胞の撲滅”を目的とした処置をするだけで 原因を取り除いてはくれないのです。錆びやすい環境に鉄をおけば鉄は錆びます。医者はこの錆びを一所懸命取り除いてくれますが、錆びやすい環境を変えることはしてくれません。 よって、一度は錆び取りもうまくいきピカピカの鉄になっても、また時間が経つと錆びてきます。これと同じことです。
 ではどのようにしたら、癌発症のキーポイントに該当しないようにできるのでしょうか?これを理解するためには私たち自身の体のことを少しわかってあげる必要があります。 では私たちの体の見学ツアーに出発しましょう! 癌だけではなく、色々な病気に対する対処方も自然と身についてきますよ。

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