蟹座に学ぶ色々 - Things learned from Cancer -

■第3章 体の健康について学ぶ (Contents)

 前章では生物はどのようにして発生したか、また、私たち人間がどのような経路を経て出来上がってきたかについて概要を述べました。 私達の体は、生物の三大欲求を遂行するために構成された60兆個の細胞共同体であることを述べました。生きてゆく環境下において 最高のパフォーマンスを発揮するため試行と妥協の末にたどり着いた非常に精巧で、でも部分的には非常にもろい生き物です。
 ここで少し解剖生理学的な話になりますが、「私たち人間(人間という個体)が60兆個の細胞から構成される」事を分かりやすく説明するために、 次に示す様に細胞のまとまりが作り出す機能毎に区分が行われています。
  @細胞:生物を構成する基本単位、@子供がほしい、A飯が食いたい、B長生きしたい欲求を遂行する基本単位 (人間が構成する社会に例えると、人間一人)
  A組織:同じ種類の細胞の集まり
  B器官:組織がある一定の配列で並び、一つの機能を有する集合体
  C器官系:いくつかの器官同士が連携し個体にとって必要な機能を発揮する協調系
  D個体:生物(動植物)の1形態 (ヒト、サル、ゾウ、ひまわり 等の区分)
 本章では、まず体を構成する基本単位である細胞が行う基本的な生命活動について触れ、上記の器官系(解剖、生理学の面から見て正確ではないが) を一つの節として区切り、体の仕組みに(60兆個の細胞の協力関係)ついての概要を記していこうと思います。

―追記―
 さて、上述の通りヒトの体について各器官系毎に一つの節として区切り、各器官の役割についてまとめていこうと思いましたが、 ネットサーフィンをしていると既にこれについてとても良くまとめられたサイトを多々見つけました。 (アニメーションも多く含んでおり、とても見やすいサイトです。) 筆者が改めて似た内容を中途半端にまとめても意味が無く、また、本HPにおいて筆者が一番訴えたい項目でもありませんので、 本章においてはこのサイトへのリンクを多々貼らしていただきました。
(リンク先のサイトにおける記載事項に関しては、該サイトトップページの免責事項をお含み願います。
※尚、本HPにおいて記載している各項目についてもすべて免責なのですが...)
 まあ、何はともあれ話を進めましょう!


−体の健康について学ぶ− 目次  TOPページへ



◆まず序章(細胞の基本的活動)

 私達ヒトをはじめとする様々な種の個体は生物の三大欲求を遂行する細胞の集合体である胸を述べました。 細胞は@飯が食いたい、A子供がほしい、B長生きしたいという欲求を満たすために日々活動をしているのですが、“飯が食いたい!”といっても何を食っているのでしょう?
 本章では体の色々な仕組みについて述べていきますが、まずはその原点について触れておきます。

 ●細胞の栄養(ところで細胞って何食ってるの?)

 細菌、カビ、動物、植物など自然界のすべての生物はATP(Adenosine TriPhosphate:アデノシン三リン酸)という物質をエネルギー源にしています。 種によって個体が食べる食べ物には大きな違いがありますが、私達ヒトも含め“食す”という行為は個体を構成する細胞にこのATPを供給するために行われています。 どのようにして食した食物からATPを取得するかは種によって異なりますが、本HPでは私達ヒトの体で行われている様々な代謝 (*代謝とは:生体内の物質とエネルギーとの変化[大辞林 参照])に着目して説明していきます。

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 ●我々の日常生活と細胞の生活の関係

 私達は生きていく上で食物を摂っていかなければなりませんが、これには次の3つの目的があるためです。 a)エネルギー生産、b)身体の構成、c)制御、調整がそれにあたります。[a.エネルギー生産]は私たちが日々暮らしを送る上でのエネルギー(心臓が動いたり、体温を維持したり、etc.) を得るための意味合いです。[b.身体の構成]は私たちが生活をするために手足があったり賢い脳があったりと、体の各部を構成するいう資材として使われる目的です。 [c.制御、調整]は私たちが健康に生きていく上で必要な体内環境を整える目的です。
 この3つの目的を遂行するために摂る食物として、良く耳にする五大栄養素が挙げられます。五大栄養素は、@糖質、A脂質、Bタンパク質、C無機質(ミネラル)、Dビタミンの5つです。 この五大栄養素と水が私達の日々の生活を支える大切な糧となるのですが、各々の栄養素が上記の3つの目的にどのように関係するかを下図に示します。


 体を構成する細胞は細胞にとってのご馳走ATPを利用して活動していることを節の文頭で述べました。早い話このATPがあれば生物の三大欲求の一つは満足できます。 でも“ATPはどこにある?”と考えてみましょう。私達の生活している環境にあるのでしょうか?ほとんどの方は聞いたこともありませんよね。そうなんです、 ATPという物質はころころと転がっているものではありません。
 このATPという物質は上述した五大栄養素を食物として摂取し、後から述べる消化、吸収系により様々な分解過程を経た栄養素が循環系により体の各部に運ばれ、 その栄養素がミトコンドリアという細胞小器官に取り込まれて合成されます(正確にはこの記述以外の経路でもATPは合成されるが、ほとんどは記述の過程を経て合成される)。 つまり、体の中の細胞1つ1つが勝手に生きているわけではなく、様々な器官系の細胞同士の連携と協力関係により生きているわけです。 それは生物の三大欲求の遂行を基本理念とした60兆の人口をもつ大きな国家のようなものです(一人一人が社会において役割分担を遂行し、互いを支えあう意)。
 細胞1つ1つの立場から考えてみます。始原細胞が発生した当初は海の中に細胞が点々とし、周りから栄養素を取り込むという生活をしてきました。 そうやって生きてきた細胞がより長生きしたいという欲求から生物は進化してきたので、生物の細胞は昔の生活のなごりをしっかりと残し体液で覆われています。 つまり、私達ヒトの生活の場は陸上に移ってはいるものの、このような生活にいたる進化の原動力となった細胞自身は昔の生活環境の中と変わらない場において生きているのです。 その一つ一つの細胞の三大欲求が蓄積した結果、色々な組織の構成、器官の構成、器官系の構成といった連携がなされ、ヒトという個体になって、 細胞一つ一つが生活しやすい環境を作り出しているのです。
 それでは、以下に@細胞一つ一つがどのように飯を食っているかというATP取得のサイクルについて、A細胞を取り巻く体液についてと、細胞一つ一つからみた生活環境の話に触れ、 その後にその生活環境を保つために私達の体がどのような機能を備えているかという各器官系の話をしていきます。


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 ●糖代謝について

 食事をすることで取り込んだ栄養がエネルギー生産、身体の構成、制御・調整に使われることは前節で述べました。 取り込んだそれぞれの栄養がこの3つの役割にどのように使われているか詳しく述べようとすると分厚い本を熟読するような内容になってしまいますので、 ここでは“エネルギー生産”について着目し、その役割を担う栄養の代表格である糖質について取り上げてみようと思います。(他の栄養素についても後々追記していこうと思っています。)
 糖質は炭水化物と呼ばれる糖質(消化される)と繊維(消化されない)の中に含まれ、炭水化物の文字通り、炭素(C)と水(HO) を構成する炭素、水素、酸素原子を有する物質です。 糖質にも様々な組成のものがありますが、食物として摂取し消化された炭水化物は主にブドウ糖(グルコース)として血液中に供給されます。 細胞はこのグルコースを利用して自らのエネルギー源であるATPを生成しますが、その生成の一連の過程のことを糖代謝と呼びます。
 糖代謝の大まかな過程を下図に示します。

 [我々の日常生活と細胞の生活の関係]の節の図において、脂質やタンパク質もエネルギー生産に寄与していることを示しましたが、これは脂質やタンパク質が体内において分解され、 上記糖代謝のTCAサイクル等の出発材料として用いられているためで、細胞のエネルギー生産はこの糖代謝が基本となります。
 では糖代謝の過程図について説明していきます。糖代謝の過程は次に示す@解糖系、ATCAサイクル、B電子伝達系の3つのブロックに大分できます。 以下にそれぞれのブロックにおける反応の概要を説明します。
◎解糖系
 私たちが食物を摂取し後述する消化、吸収系によって血液中に取り込まれたブドウ糖(グルコース)は、次の式に示すように、ピルビン酸と乳酸という物質に分解されます。 この反応(代謝)経路のことを解糖系と呼びます。


 解糖系は酸素が無くても反応が進み、ミトコンドリア(細胞小器官の一つ:「生物、人間を学ぶ」¥「細胞、細胞っていうけども細胞って何?」の章参照)を持たない赤血球へのエネルギー供給や、 激しい運動の最中の酸素不足環境の筋肉へのエネルギー供給に重要な役割を果たしています。この回路で、1モルのブドウ糖から2モルのATPを得ることができます (要は1個のブドウ糖から2個のATPが得られるということ)。
 ―余談―
 解糖系で生成される物質のひとつに乳酸がありますが、この乳酸は筋肉痛を引き起こす原因として知られています (正確に解明されているかどうかは未確認ですが、乳酸等の老廃物の蓄積が原因であるという仮説があります)。 酸素が豊富にある環境下では後述する電子伝達系の代謝により効率よくATPが生成されますが、過酷な運動等が原因で酸素濃度が少ない中では筋肉はATPを得るために効率の悪い解糖系から ATPを取得せざるをえません。無酸素下での代謝は下記のような化学式となり、乳酸が生成されこれが筋肉中の老廃物として溜まります。これが筋肉痛発生の原因の一つとされています。



◎TCAサイクル(TriCarboxylic Acid cycle:クエン酸回路、クレブス回路)
 解糖系で生成したピルビン酸をもとに図“糖代謝の大まかな過程”中のTCAサイクルで記すように代謝による生成物の循環過程を描く経路を、TCAサイクルやクエン酸回路、 (また発見者の名をとってクレブス回路)と呼びます。TCAサイクルの特徴は、サイクルの文字通り、代謝され生成される物質の反応過程が回路を描いていることです。
 TCAサイクルにおいては1モルのピルビン酸から1モルのATPが生成されます。また、後述する電子伝達系における代謝で活用されるNADH還元型(図中ではNADH+H)や FADH2が生成されます。また反応の過程で水や酵素(コエンザイム)が必要とされ、NADH生成の副産物として二酸化炭素(CO2)が発生します。
 TCAサイクルは、後の電子伝達系で大量のATPを得るために必要なNADH、FADH2を生成するために重要な代謝過程ですが、重要なだけに図“糖代謝の大まかな過程”中の TCAサイクルの部分には健康食品で体にいいとうたわれる物質の名前がたくさんあると思いません??

◎電子伝達系
 電子伝達系では、TCAサイクル等で生成されるNADH、FADH2をもとにATPが生産されます。この過程ではNADHやFADH2 1モルに対して0.5モルの酸素を必要とします。 (詳しい説明は、本HPでは割愛いたします。)
 NADH還元型 1モルからは3モルのATP、FADH2 1モルからは2モルのATPが生産されます。したがって、解糖系、TCA回路において生成されるすべてのNADH、 FADH2からは、32個または、34個のATPが生産されることになります。
−補足事項1−
 解糖系において生産されるNADH還元型は、細胞によってミトコンドリアの電子伝達系にまわるもの(Pttern 2)と、一度FADH2に変換されてから電子伝達系において活用されるもの (Pattern 1)があります。
 Pattern 1は、脳細胞、骨格筋(腕の力こぶをつくる筋肉など運動に関与する筋肉)等で
 Pattern 2は、肝臓、腎臓、心筋(心臓を構成する筋肉) 等で行われます。

 以上で解糖系、TCAサイクル、電子伝達系という糖代謝を行う代表的な代謝過程を説明しましたが、この反応過程をまとめると次の式のようになります。

 この式を一目すると、私たちが生きていくためにエネルギー源(ブドウ糖)、酸素、水が必要な理由、息を吸ってはくと二酸化炭素が多くなる理由が一目で容易に理解できます。 一個一個の細胞の営みが、個体全体の活動として如実に現れているんですね!

−補足事項2−
1)H+:水素イオン
2)NADH:Nicotinamide Adenine Dinuceleotide ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(還元型)
3)NAD:Nicotinamide Adenine Dinuceleotide ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(酸化型)
4)FADH2:Flavin Adenosine Dinucleotide フラビンアデニンジヌクレオチド(還元型)
5)ADP:Adenosine DiPhosphate アデノシン二リン酸
6)GTP:Guanosine TriPhosphate グアノシン三リン酸
7)GDP:Guanosine DiPhosphate グアノシン二リン酸
8)モル: mol 特定の分子がアボガドロ数6×10の23乗個集まった物質量

 NADH、NAD、FADH2等の物質は、電子伝達系におけるATP生成の材料物質、反応後の生産物質となります。このあたりについては専門的な内容になりますので本HPでは説明を割愛します。 詳しくは生理学、栄養学等の分野の専門書を参照ください。

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 ●体液について

 私達の体を構成する細胞は、遠い昔は海の中に点々とし、周りから栄養素を取り込むという生活をしてきたこと、 生物の細胞は昔の生活様式のなごりを残し体液で覆われていることを前述しました。本節ではヒトの体の体液について少し触れておきます。
 私達の体は、体重の約60%が体液で構成されます。体重の約40%に相当する体液は細胞の中にあり(細胞内液という)、残りは細胞外にあって (細胞外液という)間質液と血漿に区分できます。体重の約15%は細胞の周囲にある間質液、体重の約5%は血液中の血漿です。 細胞内液と間質液は細胞膜によって隔てられており、間質液と血漿は血管によって隔てられています。
 細胞膜、血管は、半透性という性質(ある物質は通すが、ある物質は通さないという性質)を持つため、体液に溶けている特定の物質を膜を通して移動することができます。 体をめぐる血液中の酸素や栄養素は、必要に応じて血管から間質液に移動し、続いて細胞膜を通じて細胞内に取り込まれ、 また、細胞中の不要な物質は細胞膜を通じて間質液中に排出され、血管を通じて血漿中に入ります。
 私達の体を構成する細胞は、体液を利用して物質を取り込み排出する物質運搬を行っているのです。”生物、人間を学ぶ”\”人間の祖先と人間の特徴”の節において、 原生代において細胞が真核細胞に進化し、ミトコンドリアなどの細胞小器官をとりこみ、酸素を利用してたくさんのエネルギーを効率よく生産する能力を身に着けたという 説明をしましたが、私たちの体の中ではその時の生活環境をしっかりと維持しているのですね。
 下図にこの運搬の過程の概略を示します。


 以上で、細胞一つ一つが営む活動の概要について説明してきました。この細胞一つ一つの営みを維持するため、生物はその生活環境に適した器官を構成、活用し生きているわけです。 次節からは人の体のさまざまな器官、器官系について触れ、私たちの体の機能や健康について記していきます。

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◆血液と循環系

 前節の“体液について”において、私たちの体の細胞は体液を通じてエネルギー(ATP)の元となる栄養素や酸素の取得、また老廃物の排出などを行っていることを述べました。 つまり、細胞の周りの体液は細胞が健康に過ごすためには栄養素や酸素が豊富であり、また細胞から放出された二酸化炭素や老廃物はどこかに廃棄する必要があるわけです。 私たちの体には、この仕事を行う主なものとして、運搬役の血液、運搬ルートを形成する血管、リンパ管、運搬機能の動力源となる心臓が備わっています。  以下に各々の役割について説明していきます。また、序章の冒頭でも述べましたが、細かな部分についてはリンク先のサイト“ビジュアル生理学”を参照願います。


 ●血液

◎役割:血液は体内の血管(次節参照)内を循環して各細胞に酸素や栄養分を供給したり、また、細胞から排出された老廃物を運搬したり、 内部環境の恒常性維持、外敵から体を守る等の働きがあります。血液は体重の約8%を占めるといわれており、次に示す成分から構成されます。
◎構成成分 (血液は血漿と呼ばれる液体成分[55〜60%]と、下記する細胞成分[40〜45%]から成る。)
―細胞成分(リンク先サイトのビジュアル生理学では“血球成分”と表記)―
 ●赤血球:ヘモグロビン呼ばれる物質を多量に含有し、酸素運搬が主な役割です。CO2運搬や、pH調整にも関与します。
概要はリンク先を参照下さい。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/ketsueki.htm)
 ●白血球:白血球は、顆粒球、単球、リンパ球の3つに大別され、顆粒球はさらに好中球、好酸球、好塩基球に分けられます。主な役割は食作用や抗体産生などの生体防衛機能です。 白血球は細菌や異物が体内に侵入したときに攻撃したり細胞内に取り込んで分解、消化したりします。
概要はリンク先を参照下さい。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/ketsueki.htm)

☆余談:白血球の説明をわずか4行程で流してしまいましたが、本HPのメインテーマである癌対策においてはこの白血球は大変重要な要因になっています。 主に免疫学という分野において研究がなされており、リンパ球と免疫の関係が見つかったのは1960年代になってからというようについ最近の発見が多々ある分野です。 リンパ球の抗体産生や異物攻撃、食作用については現在も次々と新しいことが発見されているようで、免疫学は正に発展途上の分野です。癌治療の3大療法に加え、 最近クローズアップされてきた免疫療法もこの白血球を利用したものです。 しかし、白血球のどの細胞の力をどのようなトリックを使って治療に利用するかという点については多々あるのが現状で、 活性リンパ球療法、BAK療法、丸山ワクチン、蓮見ワクチンなどなど、多岐に渡ります。本HPでも別途触れていこうと思います。

 ●血小板:血小板は止血作用を主な役割とする細胞で、血液1ミリ立方メートル中に15万〜40万個存在するといわれています。 血管に傷ができるとまずこの血小板が損傷部位に集まり、血小板血栓を形成します。その後、血漿や組織中の血液凝固因子や血小板因子の働きにより血液凝固が起こり 止血するというメカニズムが働きます。

―液体成分 (血漿)―
 血漿中には以下のような成分が含まれています。
 ●水:血漿中の90%は水です。水分は血液と細胞間の物質運搬、血圧の維持などの重要な役割を担っています。(浸透現象による物質運搬に欠かせない。)
 ●電解質:大部分はナトリウムイオン、塩素イオンで、その他カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン、水素イオン、 リン酸−水素イオン、硫酸イオン、重炭素イオンなども少量含まれています。電解質は細胞が必要とするミネラルを補給したり、体液の浸透圧調整などに関与します。
 ●たんぱく質:血漿中のたんぱく質を血漿タンパクといい、主に@アルブミン、Aグロブリン、Bフィブリノゲンの3種類に大別できます。
  @アルブミンの主な役割
   細胞のアミノ酸供給源、膠質浸透圧(※ここでいう膠質とはタンパク質のこと。タンパク質が浸透現象によりにより水分を引き付ける圧力。 これにより、ピチピチな体が保たれるイメージ...)の維持、血管内の水分保持
  Aグロブリンの主な役割
   ホルモン、ビタミンの運搬、抗体として免疫反応に関与
  Bフィブリノゲンの主な役割
   血液凝固作用に関与

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 ●血管

 体液について触れた節において、体の各細胞は[血管から間質液に移動し、続いて細胞膜を通じて細胞内に取り込まれ、また、細胞中の不要な物質は細胞膜を通じて 間質液中に排出され、血管を通じて血漿中に入る]というメカニズムで必要な栄養素を取り込んだり、不要な物質を排出していることを述べました。
 本節でお話しする血管は、体のいたるところを構成する細胞に物質運搬役の血液を送り込むための交通網の役割を担っています。血液は後述する 心臓というポンプによって体の各部に輸送されます。また、ヒトの体には心臓を中心に2系統の大きな循環系があり、それぞれを肺循環、体循環といいますが、 各循環系を構成する血管は機能と太さの両面から次のように分別されます。

 ●肺循環:右心室(心臓)→肺動脈→毛細血管→肺静脈→左心房(心臓)
 ●体循環:左心室(心臓)→大動脈→動脈→細動脈→毛細血管→細静脈→静脈→大静脈→右心房(心臓)
 上記の内、体循環の毛細血管において細胞との物質運搬が行われます。また、肺循環の毛細血管においては、私たちが呼吸によって吸い込んだ空気とのガス交換が行われます。
 体循環においては、心臓から出た大動脈が枝分かれし動脈となって体の各部に向かい、それが枝分かれし、細動脈となりさらに各部に向かい、 それがまた枝分かれして毛細血管となり各細胞のより近くまで血液を運びます。静脈においては、枝分かれした毛細血管の道が集まり細静脈に、それが集まり静脈に、 さらに集まって大静脈にという構図です。
 肺循環においては循環先が肺に限定されていることから分岐の段階が少なく、肺動脈が枝分かれして肺胞を取り囲む毛細血管となり、 それが集まって肺静脈となり心臓にもどるという構図です。

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 ●リンパ系、リンパ

 前節で、血液の流れを導く交通網である血管の話をしましたが、私達の体には体内をめぐる循環系としてもう一つの交通網があります。これがリンパ系です。
 リンパ系は、体の末梢各部の毛細血管と並ぶ“毛細リンパ管”に始まり“集合リンパ管”、“本幹”を経て鎖骨下静脈につながる一方通行路です。
 細胞を取り囲む間質液(“体液”の節を参照)の一部は毛細血管ではなく毛細リンパ管に流入し、リンパ系を介して静脈へと戻されます。 このリンパ系に流入した液の事をリンパといいます。
 毛細リンパ管の透過性は毛細血管より高いため、体内に侵入した異物の大部分はリンパ系へと取り込まれます。リンパ系の各部にはリンパ節と呼ばれる節目が多々あり、 ここには血液/白血球のところで話をしたリンパ球、マクロファージが待機して異物に対しすばやく攻撃したり消化することができます。 (国際空港の入国審査前のコンコースみたいなイメージです。入国審査にパスしないと警備員に取り押さえられ、国内を自由に巡ることができません。)
 また、小腸の腸壁から繋がるリンパ管は、消化された脂肪を吸収する働きがあります。
 リンパ系の機能を要約すると下記のようになります。
  ●体外から間質液中に侵入した異物を取り除く働き
  ●体内の各組織の過剰な間質液、タンパク質を吸収し膠質浸透圧を調整する働き
  ●小腸の腸壁から繋がるリンパ管は、消化された脂肪を吸収する働き

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 ●心臓

 心臓は体中に血液を輸送するポンプ役となる器官です。
 詳細は、リンク先サイトを参照下さい。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/heart.htm)

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◆呼吸系

 序章において、私達の体を構成する一つ一つの細胞が何食ってるのということについて触れ、ATPという物質を合成してエネルギー源としていることについて触れました。 その中の糖代謝で、細胞が生きていくために必要な物質を3つ挙げましたが覚えていますか? グルコース、水と、そう酸素です。
 呼吸器系は、私達が暮らす生活環境(地上の大気中)から酸素を取り込み、老廃物である二酸化炭素を吐き出すというガス交換を行う器官です。

 詳細はリンク先サイトを参照下さい。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/lung.htm)

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◆消化、吸収系

 私たちは細胞一つ一つのエネルギー源となる栄養素を取り込むために、食物から栄養素(”我々の日常生活と細胞の生活の関係”の節を参照)を取り込む必要があります。その役割を担うのが消化、吸収系です。
 @消化、吸収系の概要、口腔、食道、胃について
  リンク先サイトを参照下さい。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/SYOKA.htm)
 Aすい臓、小腸、大腸について
  リンク先サイトを参照下さい。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/syocho.htm)

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◆排泄系

 排泄系というと直感的に“うんち”の方を想像してしまいますが、“うんち”の方は消化、吸収系において体の中に取り込まれなかったものという解釈であり、 取り込まれなかったものを出すだけなので本来の排泄系にはなりません。実は私達にとって本当の排泄系(体内から不要なものを体外に排泄する系)は“おしっこ”の方になります。 便秘で10日間“うんち”が出ない人は「あらあら大変ねぇ〜」ですむかもしれませんが、10日間“おしっこ”が出ないというのは命に繋がる重大事態です。
 腎臓に関するリンクを貼ってありますが、上記の背景を含んで眺めてみてください。
リンク先サイトを参照下さい。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/kidney.htm)

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◆内分泌系

 内分泌系は後述する神経系と同様に体の各部の調節をつかさどる機能を持ちます。内分泌系による調節は内分泌腺から分泌されるホルモンによって行われ、体の成長、生殖、 代謝や内部環境の調節などに関与します。神経系と並んで、細胞が集まって構成された各器官の働きの調節役の位置付けです。
 私達の体内には、@下垂体、A甲状腺、B副甲状腺、C膵臓、D副腎、E卵巣、F精巣、G松果体などという内分泌腺があり、ここでホルモンを分泌します。 また、腎臓や視床下部の神経細胞なども特定の内分泌腺を持たないながらもホルモンを分泌することが知られています。
 ホルモンはある一定の構造を形成した化学物質であり、構造の違いからa.ペプチドホルモン、b.ステロイドホルモン、c.アミン類の3つに大分できます。 あるホルモンは、ある特定の細胞や器官にのみ作用を及ぼしますが、これはホルモンの標的とされる細胞がそのホルモンに対して特異的に反応する受容体をもっていることから起こります。
 主なホルモンとその作用について、下表に記します。

ホルモン分泌器官 ホルモン名称 標的組織 作用
視床下部 放出ホルモン 下垂体前葉 特定ホルモンの分泌を刺激
抑制ホルモン 下垂体前葉 特定ホルモンの分泌を抑制
下垂体(前葉) 成長ホルモン 多くの組織 タンパク質の合成を促進、成長促進
プロラクチン 乳腺 乳房、乳腺の発育と乳汁産生&分泌
甲状腺刺激ホルモン 甲状腺 甲状腺ホルモンの分泌促進
副腎皮質刺激ホルモン 副腎皮質 副腎皮質ホルモンの分泌促進
性腺刺激ホルモン 性腺 性腺機能の刺激
下垂体(後葉) オキシトシン 子宮 子宮を収縮
乳腺 射乳誘発
バゾプレッシン 腎臓 水分再吸収を促進
甲状腺 甲状腺ホルモン 多くの組織 代謝促進
カルシトニン 骨・腎臓 血中のカルシウムイオン濃度調整(低下)
副甲状腺 副甲状腺ホルモン 骨・腎臓 血中のカルシウムイオン濃度調整(上昇)
膵臓のランゲルハンス島 インスリン 多くの組織 血糖値低下
グルカゴン 肝臓・脂肪組織 血糖値上昇
ソマトスタチン ランゲルハンス島 インスリンとグルカゴンの分泌を抑制
副腎髄質 カテコールアミン
(アドレナリン・ノルアドレナリン)
心臓、血管、肝臓・脂肪組織 心拍数・血圧・代謝・血糖値の上昇
副腎皮質 糖質コルチコイド 多くの組織 血糖値の上昇、抗炎症、胃酸分泌促進
電解質コルチコイド 腎臓 ナトリウムイオンの再吸収
副腎アンドロジェン 女性における性欲亢進、陰毛発育
精巣 アンドロジェン 多くの組織 男性第二次性徴の発現
生殖器官 精子形成
卵巣 エストロジェン 多くの組織 女性第二次性徴の発現
生殖器官 卵胞発育・子宮内膜肥厚・膣上皮増殖
プロジェステロン 子宮 妊娠の維持
乳腺 発達の促進
消化管 消化管ホルモン 消化管・胆嚢・膵臓 消化管機能の調節
腎臓 レニン 副腎皮質 アルドステロン分泌を促進
エリスロポエチン 骨髄 赤血球生成促進
松果体 メラトニン 概日リズム
心臓 心房性ナトリウム利尿ペプチド 腎臓 ナトリウムイオンの排泄を促進

(参考文献:医歯薬出版株式会社 ”生理学”/Solomon EP et.al (1987).、Vander AJ et.al. (2001))

 内分泌系の各々について、奥深いところは色々ありますがここでは説明を割愛します。また、本HPの趣旨に合致する項目が出てきたところで追記していこうと思います。


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◆神経系

 神経系は私達の体の外部環境や内部環境の変化に関する情報を脳へ伝達したり、それとは逆に脳の指令を体の各部に伝達したりと、前述のホルモン同様に体の各器官の働きを 調節する上で重要な役割を担っています。
 神経系は下図のように分類することができます。


 神経系は、その機能の中枢となる中枢神経系と、中枢と体の各部とを連絡する末梢神経系に分別できます。中枢神経系は、脳と脊髄から構成されます。
 末梢神経は、解剖学的分類と機能的分類の区分の仕方があり、解剖学的分類では脳神経と脊髄神経に分類できます。機能的分類では、体の運動や感覚機能をつかさどる体性神経系と、 循環・呼吸・消化などの各種自律機能をつかさどる自律神経系に分類されます。体性神経系は末梢の感覚受容器からの情報を中枢に伝達する求心性神経と、 中枢神経系の指令を末梢の各器官に伝達する遠心性神経から構成されます。
 体性神経系の求心性神経は皮膚や骨格筋などの各器官からの情報を伝え、感覚神経と呼ばれます。体性神経系の遠心性神経は骨格筋を支配し、運動神経と呼ばれます。
 自律神経系の求心性神経は各内臓の情報を伝えるので内臓求心性神経と呼ばれます。自律神経系の遠心性神経はさらに交感神経と副交感神経に分けられ、 どちらも内臓の諸器官を支配しています。
 各詳細については、以下リンク先サイトを参照願います。

 ●神経細胞(ニューロンについて)
  リンク先サイトを参照ください。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/Sinkeihp.htm)
 ●中枢神経系 - その1 -
  リンク先サイトを参照ください。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/brain.htm)
 ●中枢神経系 - その2 - (脊髄)
  リンク先サイトを参照ください。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/sekizui2.htm)
 ●末梢神経系
  リンク先サイトを参照ください。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/sekizui.htm)

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◆感覚系

 私たちの体に備わっている各器官系の話を色々としてきましたが、これら器官は一つ一つの細胞が集まり組織、器官を構成して特定の役割、 機能を発揮しているものであることを説明しました。前節までの内容を組み合わせていくと、だんだん人間らしくなってきましたよね。
 さて、本節では感覚系についての話です。私たちは食物を確保して(今はスーパーマーケットで買い物をするという行為に変わったが、昔は狩をしたり、 木の実を採ったりという行為)、それを食すという基本的な行動をはじめ、生活を成り立たせるために体内や体外の変化を察知するための様々な感覚器が備わっています。 例えば、“カサカサッ!!”と近づいてくる敵の音を感じて身を守る準備をしたり、おいしそうな獲物が草叢の中にいるのを見つけたり... (ともに原始時代にタイムスリップしたシチュエーションですが... 現在でいうと、怖い上司の「○○く〜ん!」というお呼びで言い訳の準備をしたり、 レストランのショーウィンドウに並ぶメニューに唾を飲み込んだりといったところでしょうか?)
 これらの感覚は、それぞれ特徴的な感覚に応じる感覚受容器によって感じ取られ、受容器によって受容された信号は求心性神経線維→中枢神経系→大脳皮質という経路をたどり、 私たちが日々なんとなく感じている感覚を生じているわけです。また、感覚情報は大脳皮質の感覚野だけではなく、視床下部、大脳辺縁系にも伝えられ、快感や不快感、怒りや恐れ、 喜びや悲しみなどの情動も引き起こすといわれています。
 私たちの体には様々な感覚器が存在しますが、感覚器の種類によって次のような区別をしています。
@体性感覚(皮膚感覚、深部感覚)
A内臓感覚
B特殊感覚(味覚、嗅覚、聴覚、平衡感覚、視覚)
 これらの機能をまとめると、下表のようになります。

感覚の種類 感覚器 感覚の質
体性感覚 皮膚感覚 皮膚 触圧、圧覚 など
温覚と冷覚 など
痛覚、かゆみ など
深部感覚 筋肉、腱、関節 位置感覚、痛覚 など
内臓感覚 臓器感覚 内臓 空腹感、尿意 など
内臓痛覚 内臓 痛覚
特殊感覚 味覚 舌 (味蕾) 甘い、塩辛い など
嗅覚 鼻 (嗅上皮) 花のいい香り、刺激臭 など
聴覚 耳 (コルチ器官) 高音、低音 など
平衡感覚 耳 (前庭器官) 頭の向き など
視覚 眼 (網膜) 赤、青 など

 表に記載した各項目については、下記サイト等を参照願います。

 ●体性・内臓感覚
  リンク先サイトを参照ください。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/kankaku.htm)
 ●味覚
  リンク先サイトを参照ください。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/Mikaku.htm)
 ●嗅覚
  リンク先サイトを参照ください。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/kyuukaku.htm)
 ●視覚
  リンク先サイトを参照ください。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/sikaku.htm)
 ●聴覚・平衡感覚
  リンク先サイトを参照ください。(http://bunseiri.hp.infoseek.co.jp/cyokaku.htm)


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◆運動系

 本節では運動系についての話です。私たちは生物の三大欲求を満たすために、人間という個体として様々な行動を行いますが、個体全体を円滑に動かすための器官が 運動系という位置づけになります。食物を確保するためにスーパーマーケットに行こうとしても、歩いたり、荷物を持ったりできなければ買い物という行為が成り立ちません。 よって手足があったり、また二足歩行のために起立するための筋肉があったりと、私達には個体に必要な行動を満足させる運動器官が備わっているわけです。
 この運動器官は生物の種によってその生活形態に合うよう様々ですが、私達人間は@骨格とA骨格筋というように2つに大分することができます。
 @骨格は“骨組み”の役割、Aは骨組みを動かす“アクチュエーター”としての役割を持ちます。ユンボーで例えると、アームやシャベルの部分が骨格、 油圧シリンダーの部分が骨格筋という按配です。(まあ、わざわざ例えを出すほど難しい話ではないですね〜...)  [参考:ユンボーの写真(KOMATSUのGAREOというシリーズ)]

 人間には約200個の骨が構成する骨格と、それに付着する約680個の筋により運動系が構成されているといわれています。 それぞれに関する詳細についての説明は膨大な情報量となり、自分自身もその専門家ではなく語る立場にはありませんので、書店の人体解剖アトラスや解剖学の書籍を参考願います。 本節では簡単に概要について触れようと思います。


 ●骨格

 骨格の役割は運動器としての骨組みとしての機能を有するほか、内臓や中枢神経の保護、人体を支持する支柱(ビルでいう鉄骨)としての役割があります。
 全身の骨格は、@体幹の骨格(頭蓋、脊柱、胸郭)、A体肢の骨格(上肢、下肢)に分別できます。これらが組み合わさって、次のイメージのような骨格を構成しています。
(非常に簡単ですが、骨格各部の説明については割愛させてください。また、何かの話題でマッチすることがありましたら追記していく予定です。)


 ここでは骨格を構成する骨の性質について少し触れておきます。骨を構成する組織は骨細胞と骨基質という2つに大別できます。
@骨基質:
 骨基質は豊富な膠原線維とその間に大量のリン酸カルシウム等の無機質の結晶(アパタイトと呼ばれる)が沈着した組織からなり、この無機質は基質の約7割を占めています。 このような骨基質の組成から骨特有の“硬い”という性質が現れます。
A骨細胞:
 骨は一度出来てしまうと硬く変化していないように思いますが、常に新しい組織が作られ、古くなった組織は破壊されるといったリモデリングが行われています。 骨細胞には、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞が存在し、骨芽細胞は新しい骨を形成する役割を担い、骨細胞は骨組織の内部を走る血管から酸素と栄養を受け取ったり、 骨組織にかかる荷重などの情報を検知して骨芽細胞に伝えて骨形成と骨吸収の調節を行う役目を持っています。 また、破骨細胞は水素イオンを分泌して酸性の環境を作り骨に含まれるカルシウム分を溶解することで骨組織を破壊します。
 骨はこの3つの細胞のバランスが保たれることで常にリモデリング(新陳代謝)がなされています。

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 ●筋

 私たちの体を構成する筋は、平滑筋と横紋筋に大分することができます。平滑筋は消化管や血管のような管状のもの、あるいは膀胱や子宮のような袋状の内臓の壁を作ることから 別名で内臓筋とも呼ばれます。平滑筋は自律神経の支配を受けており意識的に動かすことが出来ない不随意筋です。
 もう一つの横紋筋は骨格に付着して手や足を動かす動力源となる骨格筋と、心臓を構成して体中に血液を送る動力源となる心筋とに分別できます。 心筋も平滑筋同様に自律神経に支配される不随意筋です。本節の運動系に関する筋は横紋筋の中の骨格筋にあたり、これが手や足を自由に動かすことができる源になっています。
 筋肉がなぜ収縮運動できるか?という点については、下記リンクを参照願います(東京医科歯科大学 教養部の和田勝先生によって制作、提供されるサイト)。 少し難しいので補足説明をしておきます。
 骨格筋の筋線維は筋原線維というもので満たされています。筋原線維は太い線維と細い線維が規則正しく配列されており、太い線維はミオシン、細い線維はアクチンという タンパク質で構成されています。このミオシン線維のあることろをA帯、アクチン線維のあるところをI帯と区分しています。 また、A帯の中央にはアクチン線維の欠ける部分がありここをH帯と定義しています。
 また、筋肉は上記のA帯、I帯、H帯が特定の間隔に並び、一つの筋収縮の単位として節を構成します。この節をZ帯と定義し、Z帯からZ帯までを筋節(サルコメア)と 呼んでいます。この補足を念頭にリンク先のサイトを参照願います。
  [リンク先サイト:http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/textlife/signal.htm#contract]

 さて、骨格と筋についての概要を上述しましたがここではこれら骨格と筋がどのようにして私たちの生活で行う様々な運動に繋がっていくか少し説明します。 一般的に筋肉は基盤となる骨から動作を起こしたい骨へと関節をまたいで繋がっています。基盤(動きの支点となって動かない部分)となる筋肉の付着部分を“起始”、 その筋肉の収縮によって動作が与えられる方の付着部分を“停止”と言います。
 腕の“力こぶ”で有名な上腕二頭筋という筋肉をとりあげ図に示します。上腕二頭筋は二つの関節をまたがる二関節筋ですが、主な機能は前腕の屈曲(曲げる)動作です。 筋肉の起始は肩甲骨の関節上結節と烏口突起、停止は橈骨粗面(一部は前腕筋膜に癒合)です。筋肉の収縮により肘関節を支点にてこの原理で前腕が屈曲するメカニズムです。(図参照)
 体の各部には色々な骨と筋肉がありますが、基本的には皆このようなメカニズムによって各動作に繋がっています。



 文頭でも述べましたが、約200個の骨とそれに付着する約680個の筋についての詳細はここでは触れませんので、書店の人体解剖アトラスや解剖学の書籍を参考願います。

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◆免疫系

 私達ヒトをはじめ様々な生体には、病気のもととなる微生物やウィルス等の侵入を防ぎ、排除しようとする機能を持っています。この機能のことを生体の防御機構と呼んでいます。 私達の体に備わる防御機構をみてみると、外部の異物の侵入を防ぐバリアとして、まず皮膚や粘膜が挙げられます。皮膚や粘膜のバリアを通過して体内に侵入した異物に対しては 免疫機能が働き、私たちは侵入したものを異物として認識し、攻撃、破壊して排除しようとします。この一連の機構は免疫系と呼ばれています。
 免疫系は体の環境を維持するために、感染から防御したり、最小限に抑えたりする働きをし、これらは血液の節でもふれた白血球を中心に様々な細胞や因子と絡み合って営まれています。
 少し難しいですが、詳細はリンク先のサイトを参照願います。また、本HPで触れる話題とマッチする項目がありましたら取り上げて追記していこうと思います。

  [リンク先サイト:http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/textlife/immunology.htm]
  [リンク先サイト:http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/textlife/immunology2.htm]
     (東京医科歯科大学 教養部の和田勝先生によって制作、提供されるサイト)


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◆生殖系

 生殖とは新しい個体を作る機能をいい、生物の三大欲求(@子供がほしい、A飯が食いたい、B長生きしたい)の一因である“@子供がほしい”という重要な働きです。 生物が誕生した当時の細胞は、自らの細胞を分裂させるという方法をとってきましたが自然淘汰により進化が進み個体として生殖するようになると、 生殖細胞を次世代に向けて引き継ぐという行為に変わってきました。 [これについては、本HPの(■生物、人間を学ぶ/◆人間の体はどうやって出来上がったのか/●自然淘汰と進化)を参照願います。] 本節においては現在のヒトが具体的にどのようにして生殖細胞を引き継ぐ行為をしているか、ということについて概要を述べていこうと思います。 (行為については、H系サイトを参照願います。なんちゃって...)
 本HPの[■生物、人間を学ぶ/◆細胞、細胞っていうけど細胞って何?]において核という部分に染色体という遺伝物質を備えた器官があり、 この染色体を複製することを皮切りに細胞分裂を行うことが、生物が増殖する基本的な原理になっていることを述べました。 現在に至っては、私達ヒトをはじめ大多数の生物がそうですが、オス(男性)とメス(女性)という性別を持ち、その個体を増殖させるにはオスとメスのお互いの生殖細胞を 受精させるという格好になっています。(生物発生当初の細胞分裂において増殖する生物は数少ないが現在も存在しています。また、この細胞分裂の仕組みは私達の体細胞の増殖においてしっかり引き継がれています。) 生殖細胞と体細胞の大きな違いは、生殖細胞の遺伝子は減数分裂を行っていることです。ヒトには44本の常染色体と2本の性染色体がありますが、生殖細胞においては22本の常染色体と1本の性染色体になります。 父方は精子の中に22本の常染色体と1本の性染色体を格納し、母方は卵子の中に22本の常染色体と1本の性染色体を格納します。この二つが受精して新たな個体の中で父方、 母方の性質を半分ずつもらった新たな44本の常染色体と2本の性染色体が、新たな個体を形成していくわけです。
 さて、では具体的にどうなっているの?という点ですが、これについてはリンク先の説明を参照願います。

  [リンク先サイト:http://health.goo.ne.jp/medical/mame/karada/index.html#11]
     (gooヘルスケアのサイトです。男性生殖器、女性生殖器の仕組み、解剖図など参照できます。)

  [リンク先サイト:http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/textlife/develop.htm]
  [リンク先サイト:http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/textlife/develop2.htm]
     (東京医科歯科大学 教養部の和田勝先生によって制作、提供されるサイト)
     (こちらは、専門的に生物学、発生学の観点からの説明がされています。)


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◆まとめ

 以上がヒトの体についての概要です。もともと一つの細胞から始まった進化は、生物の三大欲求の追及と自然淘汰による磨き上げの結果、その一子孫としてヒトという個体を作り出しました。 そしてヒトは上記のような様々な器官の働きを利用して日々の生活を送っています。
 さて、では健康とはどのような状態でしょうか?WHO(世界保健機関)の定義では「健康とは、単に疾病が無いとか虚弱でないだけでなく、何事に対しても前向きの姿勢で取り組めるような、 精神および肉体、さらに社会的にも適応している状態をいう」とされています。つまり、本章で記したようなすべての器官系がバランスよく機能して、 私達個体(ヒト)を取り囲む環境に適応している状態ということができると思います。言葉でいうのは簡単で、なんだ当たり前のことだと思います。 でもこの定義、読めば読むほど実に奥深いものがありますね。この定義を念頭に、「あなたは健康ですか?」と聞かれて「はい!」と答えられる人、どれくらいいるのでしょうか?
 健康であることは何をするにおいてもとても大切なベースとなることと思います。健康を維持することは大切ですが、ではどうしたらよいのでしょうか? 本章で示した各器官をバランスよく保つには?とても難しいですね。
 とても歯切れの悪いまとめで申し訳ありませんが、筆者としては本章で、「ヒトの体とはこんなふうにして成り立っているんだ」というイメージが湧いていただけたらそれでいいと思っています。
 次章では、人の体は本章で示したように様々な器官の連携により調節が行われたり免疫機能が働いたりしているのに、何で病気になってしまうのか?という疑問について記していこうと思います。

余談:  この節で「健康とは、単に疾病が無いとか虚弱でないだけでなく、何事に対しても前向きの姿勢で取り組めるような、精神および肉体、さらに社会的にも適応している状態をいう」 とWHO(世界保健機関)が定義している話をしましたが、これはつい最近1998年に是正された新しいものです。
 以前は「健康とは、単に疾病が無いとか虚弱でないだけでなく、身体的にも精神的にも、更に社会的にも完全に良好な状態をいう」 (1946.7.22制定)とされていました。最近、世界的にも健康や医療についての見方が再検討されているのです。


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